「ボストンを変えた」交響楽団に音楽監督として乗り込んだ小澤征爾が打ち破った上流社会の伝統
小澤がボストン交響楽団との初公演でベルリオーズの「ファウストの劫罰(ごうばつ)」(過去最高の名演とも評される)を振るため、73年9月にやって来た当時のボストンは、まさに堅苦しい伝統に凝り固まった街だった。
小澤は席を立つマダムたちがボストン交響楽団の財政的なパトロンであることなど気にも留めなかった。
タキシードの代わりにタートルネックのセーターを着て、ビーズのネックレスを着けた彼は、控えめに言っても不遜な「慣習の破壊者」に見えた。
ボストンと上流社会の長年の伝統を打ち破る新世代の一員。髪はボサボサで、無頓着で放埓、かつ大胆な独立不覊(ふき)の男という印象を与えた。
「上流階級の街」ボストンに新風
指揮台に立った小澤は雄弁な身ぶりで聴衆を引き付けた。
クラシック音楽を全く知らない人でさえ、その指揮ぶりには魅了され楽しくなる。
世界的なチェロ奏者のヨーヨー・マは、後に「ジェスチャーで音楽を表現できる磁力」を持つと評した。
大げさなまでの身ぶりの指揮はシンフォニー・ホールに新風を吹き込んだ。
彼は明らかにボストンのお高く止まった上流階級の一員ではなかった。
もちろん、この街を変えたのは小澤だけではない。
当時、近郊のハーバード大学ではベトナム戦争に抗議する学生たちがキャンパスを占拠していたし、市内では毎夏のように人種暴動が起き、街の一部が炎に包まれた。
当時の若者、つまり46~64年生まれのベビーブーム世代はあらゆる慣習に異議を唱え、公民権運動やフェミニズム運動の旗を振った。
そして大企業の経営陣や大学当局、さらには音楽の殿堂の守り手たちまで、あらゆる権威にノーを突き付けた。
ボストン交響楽団は古いボストンの一部、高尚な趣味と富の要塞の仲介役であり、妙な潔癖さに凝り固まって面白みのない存在になっていた。
そこに飛び込んで来たのが外国人、それもアジア人の小澤だ。
彼は傲慢にも西欧文明の伝統的かつ保守的な音楽の殿堂を率いるというのだ。
それは前代未聞の事態だった。
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