単にイキりたかっただけの「機密情報流出事件」──本当の問題は「消される人々」が出ること
韓国は流出文書の大半が偽造だと主張しているが、記述を読む限り、米韓が砲弾の売却でひそかに交渉を行っていたこと、砲弾がウクライナに渡った場合国民にどう説明するか、韓国政府がうまい言い逃れを探っていたことが疑われる。
野党にすれば、こうした疑惑は政府批判の格好のネタになる。韓国政府が表向き機密流出は大した問題ではないという態度を取ったのはそのためだ。流出文書に記された他の国々も事を荒立てまいとしている。
外交・安全保障政策を進める上では敵対国のみならず同盟国同士でも腹の探り合いが欠かせない。スパイ活動は国家運営に不可避かつ不可欠の活動だ。
ただ自国の情報が盗まれていることが分かった場合、盗んだ国が敵対国なら公然と非難できるが、同盟国であれば対応は難しい。
政治的な得失をてんびんにかければ、多くの場合は同盟国との良好な関係の維持が優先され、水面下でスパイ活動をやめるよう申し入れるだけで済まされることになる。今回のように事が表沙汰にならない限りは......。
アメリカと韓国など流出文書に記された国々との関係は多少ギクシャクしても、じきに元に戻るだろう。より深刻なのは、流出文書に記された機密をアメリカに提供したスパイがどうなるかだ。
機密流出の政治的な影響はすぐに収まるにせよ、何人かの情報提供者は消され、いくつかの情報入手ルートは閉鎖されるだろう。
そして、この恥ずべきスキャンダルはまたしても私たちに思い知らせた。あまりに多くの米政府職員が、あまりに多くの機密に不必要にアクセスできる現状を。
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