イーロン・マスクが言っていない、倫理面も問われる3つの「少子化対策」

Virginia Yunes-iStock
<「日本は消滅する」......イーロン・マスクの発言が物議を醸したが、先進国の高学歴女性が子供を産まなくなるのは世界共通の現象。万人が賛成しづらくも、「少子化で日本消滅」を回避するための3つの解決策とは?>
「当たり前の話だが、出生率が死亡率を上回るような変化が起きない限り、日本はいずれ存在しなくなる。これは世界にとって大きな損失である」
実業家で大富豪のイーロン・マスクがツイッターに書き込んだ言葉が日本で大きな反響を呼んでいる。
しかし、マスクがトイレで軽い気持ちで書いたかもしれない言葉に大騒ぎするのはばかげている。実際、この投稿で言っていることは、「夜になると暗くなる」というのと同じくらい当たり前のことだ。
日本の合計特殊出生率は1.33。2011年以降は毎年、人口が減り続けている。これは日本だけの現象ではない。アメリカ、中国、韓国など世界の半分近い国で、出生率が人口を維持するのに必要な水準である2.1を割り込んでいる。
人口減少は経済成長の足を引っ張り、年金制度などの社会保障制度の財政を逼迫させる。出生率の低下は、20~21世紀における社会の3つの大きな変化が原因だ。それは、都市化、女性の教育レベルの上昇、避妊法の普及である。
まず、都市化が進行すると、女性が産む子供の数は減る傾向がある。伝統的な農村社会では、子供をたくさん儲けることが生き残りのための有効な手段だった。
一家の労働力が増えれば、安全と食料を確保しやすくなるからだ。しかし、都市の生活では、家庭外の自由と機会が広がり、多くの子供を産もうという動機が弱まる。
高いレベルの教育を受けた女性は、キャリアとライフスタイルの選択肢が増え、自立した人生を送りやすくなる。その結果、出産と育児に全てのエネルギーを注ぐのではなく、一人の人間として充実した人生を送るためにもエネルギーを割くようになる。
1960年以降、女性たちはピル(経口避妊薬)を用いることにより、いつ、何人の子供を産むかを自分でコントロールできるようになった。ピルが利用できるようになった国ではどこでも、家庭外での機会を追求するために子供を儲ける時期を遅らせる女性の割合が増えている。
多くの国では、出産時の現金給付や有給出産・育児休業制度などの対策を実施してきたが、出生率の低下という大きな流れを変えることはできていない。移民を受け入れても、都市部の高教育層の出生率低下の根本的な原因を改めることはできない。
出生率の上昇につながる可能性がある変革が3つある。しかし、いずれも万人が賛成するものではない上に、私たちの生き方を根本から変えることになる。
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