プーチンにとっても「戦争」は割に合わない...それでも挑発を続ける「勝算」とは
ウクライナのNATO加盟を阻止したいプーチン SPUTNIK PHOTO AGENCYーREUTERS
<ウクライナ情勢を一気に緊迫させたロシア側の行動だが、欧米による東欧への「拡大」を阻止するという意思はどこまで本気なのか?>
ここ数カ月に限って言えば、ウクライナ情勢でロシアのプーチン大統領が欧米に対して主導権を握っているように見えるだろう。しかし長い目で見ると、この数十年、東欧の国々は次第にロシアと距離を置き、欧米に接近してきた。ロシアのウクライナに対する影響力も弱まりつつあった。
皮肉にも、2014年にロシアがウクライナ南部のクリミア半島を併合し、東部を実効支配する分離派勢力を支援したことがその流れに拍車を掛けた。こうしたロシアの行動は、ウクライナをますます欧米寄りにする結果を招いたのだ。
この傾向に歯止めをかけるために、プーチンはウクライナとの国境近くに約10万人の兵力を集結させ、アメリカとNATOに対してウクライナをNATOに加盟させないという「法的保証」を求めている。欧米がこの要求を受け入れれば、ヨーロッパの地政学的なバランスは1997年以前、東欧諸国のNATO加盟プロセスが本格的に動き始める前の状態に戻ることになる。
いまプーチンがウクライナで危機をつくり出している主な要因は3つある。1つは自身のイデオロギー、1つはアメリカがロシアの存立を脅かそうとしているという認識、そしてもう1つはウクライナが欧米の同盟国になることへの懸念だ。
NATOの東方拡大は「裏切り」行為
第1に、プーチンが抱くイデオロギーの根底にあるのは、ロシア・ナショナリズムと、ロシアこそが文明の中心だという思いだ。その文明はロシアの大平原で生まれたもので、欧米流の自由主義とは対極的な思想を育んできたとされる。
第2に、プーチンも旧ソ連の多くの指導者と同様、アメリカがロシアに強い敵意を抱いていると考えている。ソ連が崩壊した後、90年代前半にアメリカの経済学者ジェフリー・サックスの旗振りによりロシアで乱暴な民営化が推し進められたのは、ロシアの弱体化をもくろむ策略の一環だったと、プーチンは考えている。
ソ連の崩壊後、NATOは東欧の国々を続々と加盟させた。プーチンや多くのロシア人はこれを裏切りと見なしている。30年前にアメリカがNATOの東方不拡大を約束したと、ロシア側は考えているのである(実際には、アメリカもNATOもそのような約束をしていない)。
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