コラム

古谷経衡「我、如何にして政党党首たらんと欲す──れいわ新選組代表選挙顛末記」

2022年12月31日(土)12時59分

あなたも党首選に立候補できる Sergey Tinyakov-iStock.

<政治には素人の筆者が、11月に会った山本太郎代表の一言で、かねて思案してきた政治参加の第一歩を踏み出すと決意した。その理由と、落選後に思うこと>

私は2022年12月8日公示、同18日投開票のれいわ新選組党首選(代表選挙)に出馬した。現在(22年末)同党は衆参で8人を有し、この規模の政党にあって元職でも前職の議員でもない、純然たる民間人が党首選に立候補したのは戦後初めてのことではないか。

無論、もともと私はれいわ新選組に親近感を抱いていた。もちろん全てを手放しで褒めるわけではないが、仮にそれが理想論を含んでいたとしても主張自体には正当性を感じていた。2022年5月に山本太郎氏の個人機関誌上で対談したのが彼との初対面だったが、個人的に好感を持った。確かに良くも悪くも国会で騒動を引き起こしてきたが、確実に選挙で当選し有権者の民意をつかんでいる。芯が通っていると感じた。

そうこうしているうちに、れいわ結党初めてとなる党首選を行うという。普通、国政政党の党首は現職の国会議員である以上に、規定人数以上の推薦人が必要である。自民党総裁選や立憲民主党のそれを観れば分かろう。れいわの場合は立候補者の議員要件についての規定はなく、必要推薦人は現職国会議員1名である。はっきり言って、既存の国政政党の中で一番「緩い」立候補条件である。

国政政党や首長、地方議員に立候補する場合は、供託金と被選挙権がありさえすれば誰でも出馬できる。しかし、政党の党首は公職選挙法(公選法)の縛りが一切存在しない「自主投票(法律の関係がないフリー投票)」である反面、それを実施する党内で細かな規定があるのだ。出馬するだけなら、衆議院議員や都知事の方がよほどハードルが低いのである。

「外野」から「参加」へ

2022年11月に入って、山本太郎氏と東京・赤坂の焼肉店でサシで飲むことになった。正直な話、私は2022年11月に40歳になったのだが、40歳という節目を機に何か「外野からの政治評論」だけではない政治への参加をしてみようではないか、という意思があった。具体的には自分の住んでいる街や或いはゆかりのある市町村等で地方議員として立候補し、地方政治のイロハをイチからやりつつ、作家活動と兼業でもよいかな......などと思っていた。そんな人生の後半もありかなと思っていたのである。山本氏との懇談はその相談という意味合いもあった(もっとも、山本氏は禁酒中とのことで私だけが飲んだ)。

「山本さん、来月、れいわは党首選挙だとか......。国会議員1人の推薦があれば、民間人でも出られるとなっていますが、本当ですか」「本当ですよ」「じゃあ私でも出られるんですか」「出られますよ、古谷さん、出ますか」「またまたご冗談を(笑)」

プロフィール

古谷経衡

(ふるや・つねひら)作家、評論家、愛猫家、ラブホテル評論家。1982年北海道生まれ。立命館大学文学部卒業。2014年よりNPO法人江東映像文化振興事業団理事長。2017年から社)日本ペンクラブ正会員。著書に『日本を蝕む極論の正体』『意識高い系の研究』『左翼も右翼もウソばかり』『女政治家の通信簿』『若者は本当に右傾化しているのか』『日本型リア充の研究』など。長編小説に『愛国商売』、新著に『敗軍の名将』

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエル首相らに逮捕状、ICC ガザでの戦争犯罪

ビジネス

米新規失業保険申請は6000件減の21.3万件、予

ワールド

ロシアがICBM発射、ウクライナ発表 初の実戦使用

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部の民家空爆 犠牲者多数
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 2
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッカーファンに...フセイン皇太子がインスタで披露
  • 3
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 4
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 5
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 6
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    習近平を側近がカメラから守った瞬間──英スターマー…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story