保守派に大激震──愛知県知事リコール不正署名で田中事務局長ら逮捕の衝撃
2014年、朝日新聞社が「千葉県在住のライターである故・吉田清治氏が日本統治時代の韓国・済州島で日本軍が婦女子を強制連行した」という証言を1982年から1994年の朝日新聞社の誌面に載せたことについて「(吉田氏による)虚偽・作話であった」として過去にさかのぼって記事を削除した所謂「朝日新聞誤報問題」について、またも「日本国民の名誉を傷つけた」として原告1人に付き1万円の慰謝料と謝罪広告等を求めて朝日新聞社を相手取り提訴に及んだものである。
この時、同訴訟を主導したのはまたも日本文化チャンネル桜で、その主体は実質的にはその傘下団体である「朝日新聞を糺(ただ)す会」であり、故・渡部昇一氏などが大規模な原告側主張支持・被告批判の姿勢を喧伝したが、2016年の第一審(東京地裁)では、
「旧日本軍についての誤った報道で、日本政府への批判的な評価が生まれたとしても、個人の人格権が侵害されたと解するには飛躍がある」(慰安婦報道、慰謝料認めず 朝日新聞への2万人訴訟,2016.7.26,共同通信,強調筆者)
としてにべもなく請求が棄却された。第二審でも請求が棄却され、またも敗北が確定している。しかしこの朝日新聞集団訴訟においては、第一審の原告参加者が約2万5000名におよび、原告団としては『NHK・ジャパンデビュー集団訴訟』の2倍強を獲得したことで「史上最大の集団訴訟」と銘打つことができ、政治的運動としては一定の成功を見たのであった。
「田母神選挙」で61万票を獲得する運動を展開するも、後日有罪確定
この間、保守界隈は首長選挙への自陣営からの立候補という政治的運動にも触手を伸ばす。2014年の猪瀬直樹元都知事の辞職を受けて行われた東京都知事選挙への田母神俊雄元航空幕僚長の擁立であった。
このときもまたも日本文化チャンネル桜が実質上の主体となって、保守界隈・ネット右翼界隈から横断的で熱狂的な選挙運動が盛り上がった。田母神氏の立候補に際して、選対本部長を務めたのは日本文化チャンネル桜社長の水島総(みずしまさとる)氏(この選挙期間中、同社社長職を辞任)であった。
結果はこの選挙で主要候補(舛添要一氏、宇都宮健児氏、細川護熙氏)につづく4位となる約61万票を田母神氏は獲得し、落選したものの一定の勢力を誇示した格好となり、今から振り返ると保守界隈の政治的運動は最高潮に達したと言える。
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