「日本会議」は衰退するのか?──神社本庁全面敗訴の衝撃
冒頭に記した菅野氏の『日本会議の研究』に詳述されているが、宗教法人『生長の家』の事実上の始祖である谷口雅春(たにぐち まさはる)氏を熱心に信奉する一派(これを、"旧生長の家系統"とか、"谷口派"などと呼ぶ)が、同局のコーナー番組に出演していたりと、わずかながらに影響力を行使していた。
しかし2010年の段階で以て、かれらの量数は全国を俯瞰しても数千人という規模で、その中でもとりわけ目立った存在でも小都市の地方自治体議員(*地方議員が国会議員より下位である、と言っている訳ではない)クラスが関の山で、保守業界やネット右翼に多大な影響力を持っていたとは判決できない。
「日本会議」の影響力は10万~15万の小所帯──言われるほどではない
筆者制作
2013年に筆者が独自に調査したところ、保守業界と融合したネット右翼人口は日本全国で200万人を有するという結論に達した。この数字は、2020年の「愛知県知事リコール問題」の分析に際してのヤフーニュース個人の拙稿『リコール不正署名問題―立証された「ネット右翼2%説」』でも数次にわたって裏打ちされた数字であるが、日本会議の勢力のそれは一体どのくらいあるのか。
大前提的に、日本会議の構成メンバーは「約4万人程度」とされ、しかもこの「ネット右翼200万人」と部分的に重複する場合はあるが、完全に内包されている訳ではない。繰り返し述べているように、日本会議は神社本庁を筆頭とする「宗教右派」の集積体の性格を持つが、そのほとんどが著しく高齢化しており、比較的若い(と言っても、40代から60代)が主軸のネット右翼よりさらに年齢層的には上を行くと思われるので、200万人のネット右翼と日本会議の勢力は、完全に一致している訳ではない。
例えば、日本会議は2013年参議院全国比例で有村治子候補(自民)を推薦候補とし、2016年参議院全国比例では山谷えり子候補(自民)を推薦候補とした。この両者の得票をみてみる。
まず日本会議が推薦候補とした有村候補の2013年参院全国比例の諸候補の得票は次の通り。
筆者制作
全国比例の得票に於いて、有村候補(自民)は約191,000票を獲得して当選しているが、保守業界やネット右翼業界では著名な赤池候補(自民)、佐藤候補(自民)、中山候補(維新)はそれを遥かに上回る得票を得て当選している。端的に言えば、会員数約4万人に過ぎない日本会議の全ての会員が知人や友人を「勧誘」して投票行為を喚起しても、日本会議推薦候補と保守系日本会議非推薦候補の彼我格差は、191,000対841,000で、その対比は1:4.4程度となる。
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