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岸田政権の少子化対策はいまだに「家族主義」を引きずったまま
「異次元」は名ばかり?の岸田首相(1月23日) Kim Kyung-Hoon-REUTERS
<所得制限の撤廃で「異次元」を装うが、仔細を見れば、「子育ての社会化」を嫌い責任を家族に押し付ける体質は変わっていない>
少子化対策を進める岸田政権が、児童手当の所得制限を撤廃し、対象年齢も18歳へと拡充しようとしている。これは民主党政権の政策だった「子ども手当て」のコンセプトに立ち戻るものだが、当時の自民党はこの政策を口汚く罵り、参議院で多数派を形成していたことを背景として民主党に所得制限等を呑ませたという経緯がある。
岸田首相は「反省すべきところは反省し」と述べているが、自民党は徹底的な反省を行わなければならない。そうでなければ、子育て政策を自民党に任せることはできない。
「スターリンの」子ども手当て
日本の少子高齢化は人口動態をみれば容易に予測可能であり、古くから問題が指摘され続けてきた。政治の対応は1989年に合計特殊出生率が1.57を切った時でさえ鈍かったが、90年代後半から自治体を中心に少しずつ子育て政策が進められてきた結果、合計特殊出生率は2005年に底を打ち、一旦は微増に転じた。とはいえ自治体の取り組みにも限界があるため、民主党の高校無償化や子ども手当てなど、国が行う少子化対策が求められていた。
ところが、当時の野党である自民党は、この子育て政策を批判した。背景にあったのは、「子育ての社会化」への憎悪だ。公的支援に期待するなど甘えであり、子どもは家庭が責任を持って育てるべきだという保守イデオロギーを前面に出して、民主党の政策を攻撃した。民主党が行おうとした子育て政策を安倍元首相が「スターリンやポル・ポトがやろうとしたことだ」と批判したのは有名だ。
「子育ての社会化」に抵抗
当時の自民党の、この極端な保守イデオロギーの前景化は、民主党政権に対する単なる「逆張り」で行われたわけではない。家庭教育の推進といえば現在では統一教会との繋がりが連想されるが、伝統的・復古的な子育てを推進しようとする「親学」や「モラロジー」といった思想を唱える人物や団体との関係性も自民党は深く、様々な宗教や保守団体の影響の下での、敢えて言うが旧弊な価値観を前提とする家族イデオロギーが、自民党の政策を決定している。第一次安倍政権下で行われた教育基本法の改正でも、旧法にはなかった「家庭」に関する項目が追加され、教育の責任は第一義的に親にあるとされた。
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