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操られる岸田「決断不能」政権の危うさ
安倍元首相は、安倍派の領袖であるのと同時に、自民党内でも特に右翼的な保守系議員を代表する議員でもあった。この内閣改造では、そのような党内保守系への配慮もみられた。その象徴が杉田水脈議員の文部科学政務官起用である。杉田議員は確かに当選3回で、確かに政務官としては適齢期だ。しかし杉田議員は小選挙区を勝ち抜いた議員ではなく、比例中国ブロックの(重複立候補者を除いた)筆頭という、自民党の中国地方での強さを考慮すればほぼ当選確実の特権的議員である。これは思想が近い安倍元首相の強い意向があったとされている。
さらに、杉田議員はこれまで数多くの差別発言やイデオロギーに基づいた政治介入が問題になっている。2018年には、「同性カップルには生産性がない」というLGBTを差別する文章を雑誌『新潮45』に投稿し、同誌の廃刊につながる問題を引き起こした。またジェンダー平等の研究に対して「「反日」である」というイデオロギー的理由で科研費の停止を行おうとしている。統一協会問題についても、かつてTwitterに「旧統一教会から支援や協力を得ることは何の問題もない」と投稿していた。
こうした自身の右派的なイデオロギーによって問題を起こしてきた議員を、よりによって文部科学省分野の政務官に起用するなら、それは政府が推進しているSDGsの方針にも逆行しているし、実際、そのような観点からの批判が集まっている。杉田議員の起用に待ったがかからなかったのは、やはり党内保守系議員の統合を優先したからだろう。
生活者ではなく自民党を向いた岸田内閣
参議院選挙後の岸田政権は、世論ではなく自民党への配慮を続けている。これは自身の政権を維持するという意味では合理的なのだ。今後3年間、国政選挙はない。内閣支持率がどんなに下がっても、首相を辞める必要はない。怖いのは、自民党の中で不満が高まり、「岸田降ろし」が起こることだ。従って、岸田政権は世論よりもまず自民党を宥めることになる。
そして、岸田政権は自民党を宥めるために、自民党につながる様々な利権団体をも宥める。利権団体が党に不満を持ち離反すれば、その利権につながる議員の不満が高まってしまうからだ。旧統一協会もその利権団体の一つだろう。この政局では、旧統一協会をトカゲのシッポとして切り離してしまうことが一番楽なはずなのに、それができないのだ。
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