コラム

プロの投資家はどんな本を読むのか。意外なオススメ本3冊は...

2022年09月26日(月)16時20分

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「お金のまなびば!」より

「偏差値が高い人」ではなく「人を喜ばせた人」が幸せになる

注目の第1位は、『投資家が「お金」よりも大切にしていること』(星海社新書)。「我田引水かもしれませんが......」と自身の著書を紹介した。

本書のテーマは、投資未経験者や投資が悪だと思っている人にイメージを変えてもらうこと。日本人が投資に悪いイメージを持つのは教育の影響が大きいと藤野氏は見ているが、根底にあるのは「偏差値重視」の思考から抜け出せないことだ。

偏差値は50が平均のため、「勝ち組と負け組が分かれる仕組みをつくり出している」と藤野氏は指摘。偏差値が高い子供は「いい大学」に入ることで周囲から認められ、後に「いい会社」に入る。これは結果的に、「感じが悪い人」を生み出す可能性があるという。

「社会に出て『俺は君より頭がいいからすごい』と言うのは、ただの感じが悪い人。社会で成功するのは、新しい商品やサービスを生み出し、周りを喜ばせる人だ」

新しいアイデアを通じてより多くの人をワクワクさせることができる人が成功者と言えるのであり、本当は子供の頃からそれを教えるべきだと藤野氏は言う。そして、本書で世の中の人に伝えたいことについてこう話す。

「自分主体で世の中をよくしようとできる人は、経済的に成功するだけでなく、多くの人に慕われて、結果的に友達やパートナーに恵まれる。単なる投資じゃなくて、社会のために前向きなエネルギーを投下して世の中のために尽くすこと。それをした人が幸せになれる」

投資の知識や哲学を学べるだけでなく、社会を活性化させるエネルギーが湧いてくるかもしれない3冊。秋の夜長に、手に取ってみてはいかがだろうか。

構成・酒井理恵

●YouTubeチャンネル「お金のまなびば!」

プロフィール

藤野英人

レオス・キャピタルワークス 代表取締役会長兼社長、CIO(最高投資責任者)
1966年富山県生まれ。国内・外資大手資産運用会社でファンドマネージャーを歴任後、2003年にレオス・キャピタルワークスを創業。日本の成長企業に投資する株式投資信託「ひふみ投信」シリーズを運用。投資啓発活動にも注力しており、東京理科大学MOT上席特任教授、早稲田大学政治経済学部非常勤講師、日本取引所グループ(JPX)アカデミーフェロー、一般社団法人投資信託協会理事を務める。主な著書に『投資家みたいに生きろ』(ダイヤモンド社)、『投資家が「お金」よりも大切にしていること』(星海社新書)、『さらば、GG資本主義――投資家が日本の未来を信じている理由』(光文社新書)、『「日経平均10万円」時代が来る!』(日経BP 日本経済新聞出版)など。

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