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「黄色いベスト」が求めるフランス第2の「革命」
先日、東京で『ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ』というワイズマン監督のドキュメンタリー映画を見て、日本の未来を想像しました。この映画が描くのはニューヨークで最も多民族・他宗教・多思想的な地区として有名なクイーンズのカラフルな風景でした。ユダヤ系と中南米系移民、LGBTとWASPの男女が共存する魔法です。
今でも南アジアの移民がいる東京東部(亀戸〜錦糸町)、中央アジア移民がいる東京の北(蕨市)、東南アジアの移民がいる横浜(泉区)は10年後に民族の多様性でクイーンズを上回るかもしれません。そうなって欲しいものです。
多民族社会ほど人間らしい社会はありません。そもそも一人一人の人間が違うのが当たり前ですが、多民族社会では中身も外見も最初から違って写るのです。それゆえに、本音を隠す、合わせる必要はないの です。共存のルールは必要ですが、それ以上に最初からお互いを認めないと絶対に上手く行きません。旧ユーゴスラビアではそのユートピアが失敗し、北欧も今、多民族国家への移行に苦戦しています。私の母国フランスも、移民を大勢受け入れてきたとはいえ、今だに人種差別 (移民への偏見)があります 。決して簡単な挑戦ではありませんが、異なった文化は融合できると私は思います。
では、東京は理想の多民族国家になれるのでしょうか。 「東京2020」の一つのキーワードは「ダイバーシティー(多様性)」です。日本にとっては、男女平等な社会の実現とともに21世紀最大の挑戦になるかもしれません 。
国が一つにまとまる目標を
日本でも、「黄色いベスト」たちのように希望を失って苦しんでいる国民は多いと思います。だとすれば、フランスやアメリカと同様に、新たな目標が必要になるでしょう。
「権力は腐敗する、絶対的権力は絶対に腐敗する」の名言があるイギリスの哲学者ジョン・アクトンは、人間は国家のルールに従うより共感する思想に従う傾向があると言いました。だから、トランプやロシアのウラジーミル・プーチン大統領、インドのナレンドラ・モディ首相、中国の習近平国家主席のようにポピュリズム(大衆迎合)的なリーダーたちは人気が高いのです。
日本やフランス、カナダなどの教養レベルが国も、自国のアイデンティティー、つまり国を一つにまとめる明解な思想を打ち出さなければ、厳しくなる一方でしょう。
それは必ずしもナショナリズムではなく、一種のロマンだと思います。同じ国、同じ空間に住んでいる人たちが尊敬する価値観や美徳のことです。日本では礼儀、連帯、謙虚さ、忠誠、勤勉のような美徳が金です。その日本らしい価値観に共感した新しいアジア移民層と日本人が一緒に作り出す空間こそ21世紀にふさわしいニッポンです。
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