コラム

ワシントン毛沢東シンポ報告――映し出した危機感と無防備

2016年09月26日(月)19時19分

 朱建栄氏の「二人の身分にはあまりに違いがあり過ぎて接触などあり得ない」という主張が、いかに間違っており事実無根であるかが、お分かりいただけただろう。

 逆に、あまりに「毛沢東と藩漢年との間の直接の打電交渉」が頻繁に続くので、この段階の列挙は、いったん、ここまでとする。

 最後に、上海における秘密工作(スパイ活動)に関する「毛沢東と潘漢年の直接交渉と指示」に関して、決定的な情報をご紹介する。

●1937年11月12日:上海陥落(日本軍の手に)。毛沢東はその日のうちに潘漢年ら3名に打電し、上海陥落後の「党の秘密工作」を潘漢年らに委ねる。

「党の秘密工作」とは「スパイ活動」以外の何ものでもない。

 こうして、拙著『毛沢東 日本軍と共謀した男』に関する潘漢年のスパイ活動が、「毛沢東の直接の指示のもと」で、上海を中心に展開し始めるのである。潘漢年は1938年8月に、毛沢東の命令を受けて一度延安に戻り、1939年4月から香港を経由して、同年の秋冬に再び上海に行き、日本の外務省管轄下の岩井公館に潜り込み、岩井英一との親交(スパイ活動)を深めるに至る。

 筆者がワシントンの国際シンポジウムで話したことは、複数の在米中文メディアが、1時間前後の番組として制作し、習近平国家主席が直接見ることができるように、あるルートを通して中国大陸に潜り込ませるのだという。

 筆者自身、スピーチの場で射殺されるかもしれない危険性を覚悟していたが、無事帰国でき、一応役目を果たしたことを、皆様にご報告したい。

 ご心配下さった方々、誠にありがとうございました。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

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プロフィール

遠藤誉

中国共産党の虚構を暴く近著『毛沢東 日本軍と共謀した男』(新潮新書)がアメリカで認められ、ワシントンDCのナショナル・プレス・クラブに招聘され講演を行う。
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』『完全解読 中国外交戦略の狙い』『中国人が選んだワースト中国人番付 やはり紅い中国は腐敗で滅ぶ』『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』など著書多数。

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