- HOME
- コラム
- 韓国ソーシャルイノベーション事情
- ソウルで年に1度空襲サイレンが鳴る理由は? 韓国版…
ソウルで年に1度空襲サイレンが鳴る理由は? 韓国版防災の日「ウルジ」
韓国版防災の日「ウルジ」大韓民国行政安全部の広報ビデオより (c) 안전한TV / YouTube
<9月1日は防災の日。同じような訓練が韓国でも8月下旬に行われたが、日本とは比較にならないくらい大掛かりなものだ。その目的とは──>
8月23日午後2時、ソウル市内に突然空襲サイレンが鳴り一斉に車の通行が止まった。通行人も地下鉄の駅や建物の中に入り、人でごった返していたソウル中心部が突然静かになった。
この日は年に1度韓国全土で大々的に行われる「民防衛の日」であり、乙支(ウルジ)練習の日でもあった。どちらも国家の非常事態を想定して各種訓練を行い、国民の安保意識を高める日である。韓国の非常事態といえば北朝鮮の攻撃だが、最近は地震、洪水などの災害も含めた避難訓練を行っている。
乙支練習は毎年8月の終わり頃に行われ、一般市民はもちろん全省庁と自治体、軍、警察、教育機関、大手企業など、あらゆる組織が戦争といった緊急事態に備え、安保と安全のため何をどうすればいいのか点検する日である。
50回目を迎えた2017年の乙支練習は8月21日から24日までだった。日本の総務省のような役割をする行政安全部が主管、全国4000あまりの組織が参加した。"乙支"は高句麗時代に隋と闘って撃破した英雄である乙支文徳(ウルジ・ムンドク)将軍の名前からとったものだ。
毎年乙支練習に合わせて、韓国軍は米軍とUlchi-Freedom Guardian演習を行う。韓米連合司令部が主管する訓練で1953年の朝鮮戦争休戦後から毎年行われてきた。2017年は韓国軍5万人、米軍1万7500人が参加した。時代の変化に伴い、数年前からは重要インフラ設備に対するサイバーテロを食い止める演習、位置確認システム(GPS)電波を撹乱させる演習も行っている。
中央政府の乙支練習は、8月21日朝、青瓦台(大統領官邸)に民防衛服と呼ばれるおそろいのジャンパーを着た大統領と国務総理、長官、ソウル市長などが乙支国務会議に出席することから始まった。
北朝鮮が繰り返しミサイル発射実験を行い、韓米連合軍事練習に猛反発している中で行われた乙支国務会議だけに、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「乙支練習はわが国民の生命と安全を保護するための民・官・軍の防衛体制を点検するためである。固い韓米同盟を基盤に国際社会と協力して、現在の状況が戦争の危機に発展しないよう全力で尽くす。全政府関係者と軍は、どのような挑発にも対応できる万全な警戒体制を整えてほしい」と強調した。
この筆者のコラム
韓国スマホ専用銀行kakaobankが大人気 口座急増の理由はフィンテック 2017.10.13
自由に書いたらダメ? 米国留学や就活に備えSNSの発言に悩む韓国の人びと 2017.09.22
韓国でもお一人様文化定着 旅行、ご飯も一人が気楽? 2017.09.18
温もりのある声で癒しを 感情労働ストレスを軽減させた取り組み 2017.09.10
ソウルで年に1度空襲サイレンが鳴る理由は? 韓国版防災の日「ウルジ」 2017.09.01
韓国クレーンゲーム大ブームが思わぬ方向へ 何が問題に? 2017.05.31
「国らしい国を作る」韓国・文在寅大統領に期待高まる 2017.05.18