コラム

ポケモンGOの聖地を目指せ! 正式サービス前でもファン誘致に動く韓国地方都市

2016年08月22日(月)22時01分



ポケモンGO、束草にGo!

 ここまでポケモンGOブームが続いている理由の一つに、束草市役所の素晴らしい対応もあげられる。束草市はもともと海水浴場が有名な避暑地であるが、ポケモンGO目当ての観光客が増えると、それを嫌がらず、市役所内に「ポケモンGO司令部」を発足(ポケモンの世界観に合わせて司令部と名付けたとか)、官民が力を合わせて無料の休憩場所や充電場所を提供し、地元の観光とポケモンGOを両方楽しめるルートを作って案内したり、市内の無料Wi-Fiスポットを表示したマップを制作して配布したり、どこにどのポケモンが出るのか案内したりした。束草市民らは地元を「ポケモンGOの聖地」と呼ぶようになった。ところがポケモンという名称を市が使うのは著作権違反になるとかで、ポケモンGOをポケモンGOといえず、「ポケット怪物走れ」というようになった。

 もっとも正式サービス前なので、韓国向けアプリストアにポケモンGOはない。ポケモンGOをダウンロードするためにはAppストアまたはGoogle Playの地域設定を米国にして会員登録、それからダウンロードしないといけない。

 なぜ束草市だけポケモンGOをプレイできるのかはわからない。Niantic社も特に説明をしなかった。韓国で広く信じられている説は、Niantic社がプレイできない地域のGPS情報を設定する過程で、地図をダイヤモンド型に塗りつぶしていったところ、北朝鮮すぐ下にある束草市がダイヤモンドの形からはみ出た。それでポケモンGOは束草市のGPS情報を韓国と認識しないのでプレイできる──というものだ。意図せぬ地域限定ゲームになってしまったことでさらにブームは盛り上がった。

プロフィール

趙 章恩

韓国ソウル生まれ。韓国梨花女子大学卒業。東京大学大学院学際情報学修士、東京大学大学院学際情報学府博士課程。KDDI総研特別研究員。NPOアジアITビジネス研究会顧問。韓日政府機関の委託調査(デジタルコンテンツ動向・電子政府動向・IT政策動向)、韓国IT視察コーディネートを行っている「J&J NETWORK」の共同代表。IT情報専門家として、数々の講演やセミナー、フォーラムに講師として参加。日刊紙や雑誌の寄稿も多く、「日経ビジネス」「日経パソコン(日経BP)」「日経デジタルヘルス」「週刊エコノミスト」「リセマム」「日本デジタルコンテンツ白書」等に連載中。韓国・アジアのIT事情を、日本と比較しながら分かりやすく提供している。

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