コラム

テレビはネットで観るもの? DVDも予約録画もいらない韓国人のテレビ視聴

2016年01月15日(金)12時09分

「応答せよ1988」は韓国ケーブル局tvNの人気ドラマシリーズ第3弾。主題歌「少女」は1985年に発売されたイ・ムンセ
の国民的ヒット曲で、若手人気バンドhyukohのボーカル、オ・ヒョクがカバーし各音楽配信サイトで1位を獲得した。


 この頃韓国で社会現象にまでなっている大人気ドラマがある。タイトルは「応答せよ1988」。

 このドラマはタイトル通り、1988年前後を舞台に、当時高校2年生だった男女5人とその家族の物語である。1988年に高校時代を過ごし、今では親になり中年となった40代が、懐かしい自分の青春と親兄弟と一緒に過ごした思い出を振り返り、泣き笑う、そういうホームドラマである。

 韓国人にとって1988年は忘れられない年である。ソウルオリンピックが開催された年であり、民主化運動で政治的に混乱していた時代であり、高度成長期でもあった。1988年を知らない10〜20代にとって「応答せよ1988」は、「あの頃は〜」とお母さんの解説を聞きながら家族みんなで観られる面白いドラマでもある。

「応答せよ1988」はKBSなどの地上波テレビ局ではなくケーブルテレビ局tvNが制作したドラマである。毎週金曜と土曜の夕方、ケーブルテレビに加入している世帯しか視聴できないにもかかわらず、視聴率は16%を超え、ケーブルテレビ史上最高記録を更新した。また同時間帯視聴率1位もキープしている。地上波テレビ局の番組を含め、金土夕方放映している番組の中でもっとも人気があるという意味だ。最近は新聞記事もSNSも「応答せよ1988」のことばかり話題にしている。

「応答せよ1988」が、ケーブルテレビで放映しているドラマにもかかわらず社会現象にまでなれたのは、もちろん何よりもドラマが面白いからである。そしてあと二つ、韓国ならではの事情がある。

プロフィール

趙 章恩

韓国ソウル生まれ。韓国梨花女子大学卒業。東京大学大学院学際情報学修士、東京大学大学院学際情報学府博士課程。KDDI総研特別研究員。NPOアジアITビジネス研究会顧問。韓日政府機関の委託調査(デジタルコンテンツ動向・電子政府動向・IT政策動向)、韓国IT視察コーディネートを行っている「J&J NETWORK」の共同代表。IT情報専門家として、数々の講演やセミナー、フォーラムに講師として参加。日刊紙や雑誌の寄稿も多く、「日経ビジネス」「日経パソコン(日経BP)」「日経デジタルヘルス」「週刊エコノミスト」「リセマム」「日本デジタルコンテンツ白書」等に連載中。韓国・アジアのIT事情を、日本と比較しながら分かりやすく提供している。

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