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映画「パラサイト」に隠れている韓国のもう一つの「リアルさ」
映画の中では、この歌を兄妹が暗記するために一緒に歌う。この歌の韓国におけるステータスを明確に描いたシーンでもある。韓国で育ってこのメロディーを知らない人、この歌詞を知らない人は居ないと断言してもいいほどだ。原曲もそうだが、韓国人なら誰でも知っているメロディーに単純な言葉の羅列というのは替え歌にはもってこいで、運動会や国際競技(とくに日韓戦)などでも「応援歌」として頻繁に使われている歌である。
'Jessica Jingle' of S. Korean dark comedy-thriller film 'Parasite' captivated fans in North America!
おもしろいのは映画のヒットによりこの歌のパロディーが世界的に広がっているということだ。ユーチューブでこの歌は『Jessica song』あるいは『Jessica Jingle』と呼ばれ数十万件の再生回数を記録している。外国人の中にはこの歌を自ら口ずさんでみたり、パロディーを作ったりする人も出てきたことだ。映画のアカデミー賞受賞、そして世界的なヒットによって、これまで想像もできなかったような「流行」が生まれたのだ。
もちろん、この歌が映画の中で使われているからといって、映画や制作陣を『反日』だと批判するのは的外れな揚げ足取りだ。監督であるポン・ジュノは映画『グエムル-漢江の怪物』などを反米的要素の含まれた映画を作成したことで反米監督だという批判を受けたことはあるが、これまでの彼の言動において反日的なものは見当たらない。むしろ日本の漫画や映画に敬意を示してきた監督である。
つまり映画の中でこの歌が使われたことは、この歌の韓国における地位、国民の中にどれだけ当たり前に溶け込んでいるかということをリアルに描いていると評価すべきだ。監督が意図したものであったとしても、そうでなかったとしても、ともすれば見逃してしまうかもしれないような短い場面の中にも韓国社会の現状があまりにもリアルに、そのまま表現されているのだ。
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