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地震の恩恵? 「地震が金塊を作っているかもしれない」との研究が話題に...その仕組みとは?
今回、研究を主導したモナシュ大学の地質学者クリストファー・ヴォイジー博士は、「大きな金塊ができる背景には電気が関与しているのではないか」と仮説を立てました。
石英には「圧電効果」があります。これは、外部から圧力を受けると電気を発生させる性質で、クォーツ時計(クォーツは石英のこと)やガスコンロの点火などに応用されています。
ヴォイジー博士は、圧電効果が地震によって石英鉱脈に引き起こされているのではと考えました。発電すれば、液体中の金イオンが電子を獲得して固体の金を形成できます。金が固体になると、石英鉱脈の中で導体(電気を通しやすい物質)として働き、熱水中でより多くの金イオンが同じ場所に引き寄せられて集積し、塊を作ることができます。
研究チームは、地震によって本当に石英が圧電効果を起こし得るのかを実験室で確かめることにしました。
まず、浮遊する小さな金粒子をたくさん含む水溶液を用意して、石英の結晶を沈めました。次に、地震波の周波数を再現して、モーターを使って石英結晶を何度も押したり離したりして揺さぶりました。
その後、石英の状態を顕微鏡で観察すると、わずかな圧力がかかっただけでも結晶表面に金が集積することが分かりました。時間が経つにつれ、金は同じ場所にどんどん溜まっていき、大きな破片に成長していきました。
ヴォイジー博士は「この実験結果は、石英鉱脈内に見られる大きな金塊のもっともらしい説明になります。石英は金を電極として天然の電池のように機能し、地震が発生するたびにゆっくりと金を蓄積するのです」と話しています。
実際の金鉱床でこのメカニズムで金が蓄積されているのかを確認する作業はこれからです。けれど、石英は地球に数多く存在するありふれた鉱物の中で圧電効果を持つ唯一のものなので、「石英に金が集まる理由」をうまく説明できている可能性は高そうです。
菱刈金山も地震の賜物?
マルコポーロが「東方見聞録」で「黄金の国ジパング」と紹介した日本は、かつては金を豊富に産出していました。昭和初期には、高玉金山(福島県)、鯛生鉱山(大分県)、鴻之舞鉱山(北海道)が「日本三大金山」と呼ばれ、本年7月に世界遺産登録された「佐渡島の金山(新潟県)」でも多くの金が採掘されました。
現在は、上記の4鉱山はいずれも採算が合わなくなって閉山しています。ただし、現時点で日本唯一の商用金山である菱刈金山(鹿児島県)は、採算が取れる目安になる「鉱石1トンあたりに3~5グラムの金」を大きく超える1トンあたり20グラム程度の金含有量と、世界でもトップクラスの品質を誇っています。
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