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「良いくどい人」と「悪いくどい人」
感情的にくどくど言えば人は動かせない KatarzynaBialasiewicz-iStock.
<一度や二度指示してもやらない部下に、嫌われずに指示を守らせる方法>
世の中には「くどい人」がいます。皆さんの職場にもいませんか。何度も何度も同じことを執拗に言い続ける人のことです。しかし「くどい人」イコール「嫌な人」というわけではありません。「良いくどい人」と「悪いくどい人」がいることを知っておきましょう。
私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントです。持ち味は「くどい」ことです。
頭ではわかっているのだけれども、なかなか行動に移せないことは誰にでもあります。「知っていること:ノウイング(knowing)」「やっていること:ドゥイング(doing)」に差があることを、「ノウイング・ドゥイング・ギャップ」と呼びます。
私どもの支援先企業にも、「ノウイング・ドゥイング・ギャップ」の状態の人がたくさんいます。私はそういう方に、淡々と同じことを言い続けます。
「先日、言いましたとおり期限通り、資料を提出してください」
「あ、はい。ごめんなさい。すぐにやります」
「先日、言ったとおり、期限内に、資料を提出してください」
「わかってますよ。すぐにやります」
「先日、言ったとおり、期限内に、資料を提出してくれませんか」
「わかってますって。......そんなにこの資料って大事なんですか?」
「期限内に、資料を提出することは最初に全員でコミットしました。ですから先日、言ったとおり、期限内に、資料を提出してください」
「わ、わかりました......」
「良いくどい人」の条件
さすがに、4回も5回も同じことを言う前に、相手が根負けするのが普通です。相手は大人ですから3回ぐらい言えば、たいていは聞いてもらえるものです。大切なことは淡々と言い続けること。
「どうして期限内に提出しないんですか? 何かできない理由でもあるんですか?」
「前も言ったじゃないですか。これで3回目ですよ。どうなっているんですか」
......などと感情的になってはいけません。感情的になってしまうと「もう何を言ってもダメですね。勝手にしてください」と捨て台詞を言うなどして、相手が変わることを諦めてしまうからです。これは本当の思いやりとは言えません。コツは、感情ゼロにしてロボットのようにずっと言い続けるのです。私は部下に対しても同じように言います。
「エレベーターを乗り降りする順番がおかしいよ。順番はわかってるよね?」
「この前推薦した本読んだ? 読んだほうがいいよ」
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