カリフォルニア法廷だより
人種カードをすぐに出してくる人
とてもタチの悪い人タチで、何かにつけてすぐに被害者面をして、人種差別された、と騒ぐ、人種カードをすぐに振りかざす人がいます。
誰も人種や肌の色の事なんて言ってもいないのに、何かうまく行かなかったのは自分がOO人だからだ!と大騒ぎをするのです。イチャモニストの集まる裁判所はお客さんがそんな人だらけなので、もう何を言っても人種差別されたって騒ぐんだろうな、と皆初めから割と諦めながらの接客です。
だって、書類の不備を指摘しても人種差別、手数料払ってください、と言っても自分が黒人だからだ、とか言われるともう反論する気力も失せます。
黒人だからその分多く払えと言っているわけではないのです。みんな何人であろうと手数料は同じなのです。当たり前ですが。でもそういう人種カードを振りかざして毎日過ごしている人はなんであろうと人種差別と大騒ぎするのです。
もう訴えてやる、とカードを振りかざし息巻いているそういう人には、そうですか、はい。じゃあどうぞ訴えてください。と言ってスルーするしかないのです。列に並んでいる他の黒人が恥ずかしそうに下を向いているのを見るとそっちの方が心が痛みます。
同じ日本人がどこかのカウンターでそんな事を言って大暴れしていたら、それは同じ日本人として恥ずかしいですからねえ。
こういう人種カードを振りかざす事をカードをRace Card up his/her sleevesと揶揄します。本当に差別されたのなら、それは大いに騒ぐべきです。しかしこういう人たちは差別のないところに差別があったと騒ぐのでだから余計に他の人種から「だからOOはなぁ」みたいな事を言われてしまうのです。それに気づいているのかいないのか今日も裁判所に集まる皆さんは袖口にカードをチラつかせているのです。
著者プロフィール
- 伊万里穂子
- 大学中退後カリフォルニアに移住。
海外で手堅い職業をと思い立ち公務員に。裁判所の書記官になる。 勤続18年目たった一人の日本人書記官として奮闘中。ブログ「カ リフォルニア法廷毒舌日記」 で日々社会の縮図とも言える法廷内で繰り広げられる人間模様を観 察中。著書:「お手本の国の嘘」新潮新書