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バイデン政権の復古的中道主義は可能か
党内の分裂が深刻化する共和党
一方、共和党側は連邦議事堂乱入事件で追った傷、特に内部における深刻な分裂から回復することが極めて難しいとなっている。元々共和党内では主流派と保守派の対立が存在していたが、今回の事件で保守派内からトランピストが明確に切り分けられることになり、それら勢力争いが三つ巴の様相を呈することになる見通しだ。
上院ではテッド・クルーズvsミッチー・マッコーネル院内総務、下院ではNo.1のマッカーシー及びNo.2のスカリスvs No.3のチェイニー、でバイデン議会承認の是非で激しい意見のぶつかり合いが生じた。共和党内では依然としてトランプ大統領の支持が約過半数を占める状態にあり、今後トランプ大統領のイメージを引き継ぐ人物が現れると党内の分裂は更に深刻化していくことになる。
2020年大統領選挙・連邦議会議員選挙では、主にトランプ大統領の人格が災いして大統領選挙では敗北したものの、共和党自身は上下連邦議会議員選挙で底堅い力を見せた。そのため、民主党に劣後していたオンライン小口献金システムが本格稼働することで、2022年の下院過半数奪取に現実味があったものの、上記の乱入事件の余波でその勝利見通しが不透明になっている。当面の間、共和党議員らは対バイデンよりも党内の路線闘争に力を割かざるを得ないだろう。
増税と規制強化政策で景気が腰折れすると......
バイデン政権を取り巻く政治的環境は、連邦議会の微妙なバランスと共和党側のミスによる敵失によって、復古的中道主義を選択することが短期的に可能な状況となっている。しかし、その中道路線は民主党左派の影響力拡大と共和党側の立て直しが起き始めると、直ぐに茨の道と化すことになるだろう。特に民主党の増税と規制強化政策で景気が腰折れした後、バイデン政権が左右からの政治的圧力の強まりに抗することは難しく、米国政治は未曽有の大混乱に陥ることは十分に想定できる。
分断の時代に復古的中道主義は実現困難な政治的夢想なのか、その政治的結末は2022年の中間選挙までに分かることになるだろう。
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