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ロシアの潜水艦が米国の海底ケーブルの遮断を計画?
ロシアの潜水艦が米国の海底ケーブル周辺をウロウロしていた。 写真は2009年のもの Alexander Zemlianichenko-REUTERS
10月25日付の米ニューヨーク・タイムズ紙は、ロシアの潜水艦が米国の海底ケーブル周辺をウロウロしており、ロシアが通信網の遮断を計画している可能性があると報じた。
現在の国際通信の95%は海底ケーブルを通じて行われている。島国の日本の場合は99%に達する。人工衛星は特定用途に特化しており、一般の通信はほぼ通らないといって良い。上空36,000kmの静止軌道まで往復しているのでは時間がかかりすぎ、リアルタイム性を求める現在の通信需要には合致しないからである。光ファイバーが入った海底ケーブルが通信の主役を担っている。
海底ケーブルへの依存が深まれば深まるほど、インフラストラクチャとしての重要性も増してくる。たいていの場所で海底ケーブルは複線化が進んでおり、別ルートによる冗長性も確保されている。1本しかつながっていない離島でもない限り、1本や2本切れたとしても、ウェブや電子メールにはほとんど影響は出ないだろう。
海底ケーブル事故
実際、日本でも世界でも、海底ケーブルはかなりの頻度で切れている。その多くは漁網と錨による事故である。海底ケーブルが敷設されているところでは漁業をしないように通信事業者が漁師に補償金を払っている場合もある。しかし、底引き網が引っかかったり、重い錨が直撃したりするとケーブルは切れる。
さらには、天災でも切れる。2006年の台湾沖の地震や、2011年3月11日の日本の地震でもケーブルは複数の場所で切れた。東日本大震災のさなか、携帯電話がつながらなくても、ソーシャルメディアで連絡がとれたという人も多いだろう。しかし、海底ケーブルがもっとたくさん切れていれば、サーバーのある米国まで通信トラフィックは迂回しなくてはならず、混雑も引き起こすので、通信ができなくなる可能性もあった。
こうした問題を回避するため、KDDIが中心となって敷設した新しい太平洋横断海底ケーブルFASTERでは、千葉県の千倉と三重県の志摩の両方に陸揚げをしている。関東、関西いずれかで大きな自然災害があってもつながるようにしておくためである。
海底ケーブルの意図的な切断
事故ではなく、意図的に海底ケーブルが切断されることはあるのだろうか。歴史上、そうした実例はいくつかある。
1904年、日露戦争に際しては、旅順を封鎖するため、ロシアが敷設していた海底ケーブルが日本軍によって切断されている。1914年に第一次世界大戦が勃発した際には、ドイツにつながる海底ケーブルが切断された。
第一次世界大戦後、南洋群島と呼ばれた太平洋島嶼地域には、ドイツが敷設した海底ケーブルが残っていた。ドイツ敗戦によって南洋群島を国際連盟の委任統治領とした日本は、ドイツの海底ケーブルを南洋統治に使っていたが、そのケーブルも第二次世界大戦の戦火の下で切れてしまい、パラオはそれ以来いまだに海底ケーブルがつながっていない。
近年では、エジプト周辺で海底ケーブルが切れる事例が頻発していたが、2013年に切断に関わっていたと見られる3人が捕まっている。
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