寿司テロ、連続強盗...日本を支えてきた「ルールを守る」の崩壊、外国出身者にどう見える?
だから、面倒でも高価でも、きちんとルールを守ったほうが得だ、というのが日本社会の常識なのだが、この常識を支えているのが信頼である。日本人は、批判や不支持はあっても基本的には政府を信頼しているし、裁判所や官庁、企業のことも信頼している。建築だけでなく、食品販売や自動車の運転、電車の乗降でも同じで、日本人には社会全般のルールへの理解がある。
「みんなが守っているからズルはバレるし、バレたら割に合わない」と誰もが少なからず思っている。これは前述の「ルールを守るほうがばかばかしい」の対極だ。
日本人が当たり前だと思っている、この社会への信頼感は、一朝一夕に出来上がるものではない。長い年月をかけて地道に積み上げてきた結果である。
折しも日本では回転寿司での悪ふざけ問題や、フィリピンからの遠隔指示が疑われる広域強盗事件など、今まであまり見られなかった類いの迷惑行為・犯罪がメディアをにぎわせ、皆がルールを守る秩序ある日本社会がほころび始めているようにも感じられる。日本はこれからも互いに信頼できるこの社会を守っていってほしいと切実に願う。
石野シャハラン
SHAHRAN ISHINO
1980年イラン・テヘラン生まれ。2002年に留学のため来日。2015年日本国籍取得。異文化コミュニケーションアドバイザー。YouTube:「イラン出身シャハランの『言いたい放題』」 Twitter:@IshinoShahran

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