「おもてなしの国」は幻想だった...外国人の私が痛感した「うるさい邪魔者」扱い
YOSHIO TSUNODA/AFLO
<外国人観光客の受け入れが再開し始めたが、ツアーをサポートしてみて感じたのは、コロナ後の日本が「おもてなしの心」を失った悲しい現実>
コロナ禍で止まっていた外国人観光客の受け入れが本格的に再開し始めている。観光地や都市部のサービス業の皆さんにとって待ちに待った再開だと、メディアは報じている。私も日本は国を挙げて観光客を待ち望んでいるのだと、最近まで思っていた。
先日、初めて外国人観光客ツアーのサポートをした。私は日本を旅行するようになる前に日本語ができるようになったので、言葉ができない観光客として日本を眺めたことがなかった。だからよく言われるように、日本は親切な「おもてなしの国」なのだろうと思っていたのだが、今回とんでもない間違いだと気が付いた。制度やサービス精神の面でも、外国人観光客はあまり歓迎されていないと思い知らされたのである。
まず、日本に到着する時点でガッカリさせられる。入国者の健康チェックのためアプリをインストールし入力させられるのは仕方ない。しかし理由も説明されず紙(健康カード)にも記入させられた。訪日客は日本って意外とアナログなのね、と思うことになる。
入国して街へ出ると、外貨両替所と両替機が少ないことに驚かされる。コンビニには両替機があるのだが、入っている日本円が少ないためしばしば希望額を両替できない。
そんなゴタゴタのため、両替機にはズラッと観光客が列を成す。するとコンビニの店長らしき人がチラチラと列を見るようになり、イライラした顔で外国人観光客に「両替機ならあっちにもある!」と道の先を指さす。だがそちらはレートが5円も悪いのである。私がそう言うと、フンッと顔を背けて、店の奥に入ってしまった。
犬のように追い払われた私たち
どうにか両替をし、秋葉原で買い物をした後、カフェで昼ごはんを食べることになった。だが私が18人分注文していいか、と店主に聞くと、私の言葉も終わらないうちに「無理無理!」と吐き捨てられた。食材が足りないとか時間がかかるとか、そういう説明はなく、犬のように追い払われる。あまりにひどい対応に気持ちが収まらない私がツアー客たちに心配される始末であった。
新幹線に乗ると、今度は荷物を載せるスペースがない。これはコロナ前から指摘されていたことで、国土交通省の支援でスーツケースを遠隔地のホテルまで届けるサービスが始まったのだが、コロナで観光客が激減したせいで、私が何件か電話するとサービスを終了した宅配業者が多かった。乗車体験とともに景色も楽しみたいのだが、大きな荷物を抱えて、乗り降りに遅れないようにするだけで精いっぱいだ。