日本が好きで日本国籍を取得したのに、日本人と扱ってもらえない「元外国人」たち
法務省の統計を見ると、新たに日本国籍を取得した人は、直近10年間では毎年8000人から1万人の間で推移している。統計開始以来約70年でおよそ58万人だ。
たったこれだけの人数しかいない、と言うべきだろう。ほとんどの日本人にとって、特に仕事の場でそのような人に応対する経験は初めてで、真面目な日本人は困ってしまうのだろう。「この人は日本人には見えないし」「でも日本人だと言っているし」「どうやって信じたらいいのだろう」といった具合に。
ちなみにイランはアメリカ主導の経済制裁の真っただ中なので、イラン人は日本の金融機関で口座を作ってもらえないことがある。だが当のアメリカにはイラン人がたくさん住んでいて、銀行口座を作れないなど聞いたことがない。これも日本人の生真面目な国民性を表していると言えるだろう。
日本国籍取得者は法務局の難しい審査を経て許可を得た人々だ。皆さんと同じ日本人として法の下で守られていて、同じ義務と権利を有しており、それ以上でもそれ以下でもない。そういう人たちが約58万人いて、生まれたときから日本人であった人と同様に、いさかいを起こすことなく心安らかに日々を送りたいと願っている。
このコラムを読んでくださる方の一人でも多くの方に、このことを理解していただけたらと願っている。
石野シャハラン
SHAHRAN ISHINO
1980年イラン・テヘラン生まれ。2002年に留学のため来日。2015年日本国籍取得。異文化コミュニケーションアドバイザー。
YouTube:「イラン出身シャハランの『言いたい放題』」
Twitter:@IshinoShahran
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