コラム

ウクライナ報道の私的「裏側」、そして日本人の変化の兆し

2022年03月23日(水)16時55分
周 来友(しゅう・らいゆう)

もちろん、その兆しがないわけではなく、東京・渋谷で行われた数千人規模の反戦デモには日本人も大勢参加していた。

ただ、いくら海外に目を向けると言っても、その目が曇っていては元も子もない。同時期に銀座では、「赤の広場」というロシア食品専門店の看板が破壊される悲しい事件が起きた。

国家と国民は別。ロシアが不条理なことをしたからといってロシア人全てを敵視するのはあまりに短絡的だ。

ロシアのウクライナ侵攻は、日本の大国偏重ぶりも浮き彫りにしたように思う。

ミャンマーのクーデターをはじめとする他の国際ニュースは影を潜め、反戦の対象もロシア一辺倒となっている。大国の情勢には敏感な人々も、身近なアジアの国々の問題にはアンテナが鈍るようだ。

日本が今後も平和で安定した国であり続けるためには、国際社会の安定が大前提となる。そのために必要なのが多様な情報と、情報を客観的に判断できるグローバルな視点だ。

今回のウクライナ危機が、日本の皆さんがそうしたことを意識するきっかけになることを願ってやまない。私自身もその一助となれるよう努めていきたい。

Zhou_Profile.jpg周 来友
ZHOU LAIYOU
1963年中国浙江省生まれ。87年に来日し、日本で大学院修了。通訳・翻訳の派遣会社を経営する傍ら、ジャーナリスト、タレント、YouTuber(番組名「地球ジャーナル ゆあチャン」)としても活動。

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