コラム

来日30年超、それでも私が日本国籍を取得しない理由

2022年01月28日(金)17時10分
周 来友(しゅう・らいゆう)

国籍を変えれば、それで日本社会に溶け込めるわけではなく、時に「エセ日本人」とまで言われる。そんなとき、温かく迎え入れてくれないと日本社会を非難するのではなく、自分がどれだけ日本人になれたかを考えることが重要だ。

日本社会にちゃんと溶け込んでいるか。日本に愛国心を抱いているか。極端な話、戦争になったら日本のために戦えるか。

いろいろな考えがあるだろうが、心が中国人のまま日本国籍に変えてよいものか、と考えてしまう。

それが、私が今も中国国籍でいる理由だ。日本は大好きだし、税金もたくさん納めてきた。子供を4人もつくって少子化対策にも貢献してきた。それでもまだ、日本人になる資格はないような気がしている。

そんな私は、故ドナルド・キーン氏に憧れている。アメリカ出身の日本文学者であるキーンさんは、人生の終盤、89歳になってから日本国籍を取得した。

キーンさんがそんなことを言われたかどうかは知らないが、私はいつか「あなたは日本人より日本人だから、あなたも日本人になったら」なんて言われてみたい。

キーンさんぐらい日本を極められたら、そのとき私も日本人になろうと思う。

Zhou_Profile.jpg周 来友
ZHOU LAIYOU
1963年中国浙江省生まれ。87年に来日し、日本で大学院修了。通訳・翻訳の派遣会社を経営する傍ら、ジャーナリスト、タレント、YouTuber(番組名「地球ジャーナル ゆあチャン」)としても活動。


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