「わが家の絆は壊れていません!」夫婦別姓歴20年の中国人夫より
私は保守派の意見に賛同することも少なくないが、この夫婦別姓に関しては、その主張にどうも納得がいかない。夫婦同姓なんて何の役にも立っていないし、女性たちに不便を強いているだけではないか。
もちろん、私が生まれ育った中国も決して完璧な社会ではない。男女平等をうたいながらも、地方では依然、男尊女卑の意識が強く、子供の大半が父親の姓を継ぐなど父系制が色濃く残っている。それでも、高市早苗氏ら保守派議員が言う「社会秩序の崩壊」や「家族の一体感の喪失」などは一切起きていない。それどころか家族の絆は日本よりはるかに強いものがある。
私の子供たちは皆、妻の姓を名乗っており、中国人の友人からは半ば冗談で「おまえは子供が4人いるが、実質的に1人も残せないじゃないか」と言われたことがある。そんな言葉にいささか寂しさを覚えてしまう私自身、少々保守的な人間だ。でも、夫婦別姓で困るのはその程度のこと。同姓を強いられる人たちが直面する問題には遠く及ばない。今後はLGBTQの問題も絡み、夫婦の概念そのものにも発想の転換が必要になってくるだろう。現政権も多様化を進めると言っている以上、夫婦別姓問題にも柔軟に取り組んでもらいたい。
周 来友
ZHOU LAIYOU
1963年中国浙江省生まれ。87年に来日し、日本で大学院修了。通訳・翻訳の派遣会社を経営する傍ら、ジャーナリスト、タレント、YouTuber(番組名「ゆあチャン」)としても活動。