「密輸」中国製ワクチンを打つ日本の富裕層... 自己中だらけでコロナに勝てるの?
ISSEI KATO-REUTERS
<緊急事態宣言が出されたが、政治家も国民も真剣さが足りないのではないか。中国では今も強権的な手段で感染を封じ込めており、それはそれでごめんこうむりたいが、日本のやり方にも疑問がある>
2度目の緊急事態宣言が出された。だが、これで感染拡大を封じ込められるのだろうか。政治家も国民も真剣さが足りないように思う。
国民には不要不急の外出を控えるよう求めておきながら、「4人以下で、午後8時まで」という会食ルールを作ろうとしていた国会議員のセンセイたち。
そして以前ほど「緊急事態」を深刻に捉えず、外出をやめない人々。実際、1回目の緊急事態宣言時と比べ、夜の銀座でも通勤時間帯の品川でも人出の減りが鈍い。
「そうは言っても、家に閉じ籠もってばかりいられない」という人の気持ちは痛いほどよく分かる。私はジャーナリストだが、社員を抱える経営者でもあるからだ。経済はどんどん悪化しており、特に中小企業には厳しい。
正直に言うと、最近は新型コロナウイルスより自分のビジネスが心配なぐらいだ。担当編集者との打ち合わせでも、つい暗い話題になってしまう。
これは緊急事態宣言の発令前だが、1月1日に毎日新聞が興味深いニュースを報じていた。中国からシノファーム社のコロナワクチンが「密輸」され、大企業15社のトップとその家族ら計18人がそのワクチンを接種していたという。
自分一人ワクチンを打ったところで経済は回復しないし、おまけに日本では未承認の中国製ワクチン。私には理解できない行為だが、何でもいいからすがりたい心境だったのだろう。
このニュースは中国でも話題になった。中国製ワクチンを打つなんてバカじゃないか、というわけだ。日本人の大半は中国製を信頼していないが、それは中国人も同じ。ただ、最近は日本で中国の技術大国ぶりが知られるようになってきたからか、中国製ワクチンの品質に不安を抱かない日本人もいるようだ。
確かに中国はテクノロジーを駆使し、新型コロナウイルスを封じ込めたというイメージがある。だがその対策にしても、まだまだ信頼には値しない。
日本ではあまり報じられていないだけで、今も中国ではあちこちで感染者が出ている。政府が隠蔽しているわけではないが、すぐに外部との接触を遮断するため目立っていないだけだ。
大連では感染者が出たマンションの1階入り口を、当局の人間が外から溶接し、住人が出入りできないようにした。遼寧省ではとある銭湯で感染者が出るや、その場にいた客全員が有無を言わさず、そのまま隔離されてしまった(さすがに服は着せてもらえたようだが)。
強権的な手段で感染を封じ込めているのが実態だ。