コラム

休暇を取ることは悪ではない、日本人よ、有休を取ろう!

2019年11月11日(月)18時10分
石野シャハラン

OOYOO/ISTOCKPHOTO

<2019年は日本で働き方改革がずいぶん話題になったが、いまだに休むことは悪とされるし、制度を利用しない人が大半だという。なぜ?>

はじめまして、石野シャハランです。大学への留学をきっかけに日本に来ました。大学卒業後、日本企業、ヨーロッパ資本企業のメーカーの営業職に就き、17年ほど日本で生活しています。日本で長く暮らして、日本のことがとても好きになり、日本に感謝しています。日本での企業経験を踏まえて、もっといい日本にするコンサルティング事業を始めました。どうぞお見知りおきを!

◇ ◇ ◇

2019年は日本で働き方改革がずいぶん話題になった。テレワークやフレキシブルワークの制度がある会社は多くなってきたが、利用しない人が大半だと聞いている。なぜ?

私の日本人の友人の1人は制度をフル活用している。今年の夏、彼は午後2時半に保育園児の息子をサマースクールに迎えに行った後、帰宅してテレワークあるいはそのまま帰社し、子連れで仕事をしていた。彼の会社でもこういうワークスタイルを取る人はまれだが、周囲は「彼はこういう人なのだ」と認識している。

素晴らしい。どんなに褒めても褒め切れない。子どもに手がかかるのはたった数年。良い人財(私はあえてこの言葉を使う)はそのくらいさせないと転職してしまう。

私自身、日本で外資系大手メーカーで働いていたときは、フレックスタイムや有給休暇を利用していた。外資系企業の中でも、私が休みを取ることを疑問に思っていた人もいれば、全然気にしない人もいた。気にしない人は自分もフレックスタイムや有休を利用し、仕事もちゃんとしていた。私は彼のことを、彼は私のことを理解し、何の支障も出ることはなかった。

結婚しているかしていないか、子どもがいるかいないかは全く関係ない。お互いが生きる上で、一緒に働く上で、いかに尊重し合うかが一番大事なポイントになる。

私を疑問に思っていた人は、「サラリーマンは給料をもらっているのだから、最低でも年に2000時間は会社のために必死になって働かないと会社に迷惑がかかる、給料泥棒だ」とよく愚痴っていた。365日-120日(日本の大体の休日数)=245日×1日の労働時間8時間=1960時間と計算すると、確かに「2000時間働かないと給料泥棒」説は日本企業の一般常識と外れてはいない。しかし、フレックスタイムや有休制度のある会社に転職したのに、他の人を気にしながら何十年も働くの? それなら制度のない会社に行けば?

プロフィール

外国人リレーコラム

・石野シャハラン(異文化コミュニケーションアドバイザー)
・西村カリン(ジャーナリスト)
・周 来友(ジャーナリスト・タレント)
・李 娜兀(国際交流コーディネーター・通訳)
・トニー・ラズロ(ジャーナリスト)
・ティムラズ・レジャバ(駐日ジョージア大使)

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

マグニフィセント7決算発表開始、テスラなど=今週の

ワールド

イスラエル首相「勝利まで戦う」、ハマスへの圧力強化

ワールド

対米関税交渉、日本が世界のモデルに 適切な時期に訪

ワールド

米イラン、核合意への枠組みづくり着手で合意 協議「
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 2
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪肝に対する見方を変えてしまう新習慣とは
  • 3
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず出版すべき本である
  • 4
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 5
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 6
    トランプが「核保有国」北朝鮮に超音速爆撃機B1Bを展…
  • 7
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 8
    「2つの顔」を持つ白色矮星を新たに発見!磁場が作る…
  • 9
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 10
    ロシア軍高官の車を、ウクライナ自爆ドローンが急襲.…
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 3
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 4
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 5
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇…
  • 6
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 7
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 8
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 9
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 10
    「世界で最も嫌われている国」ランキングを発表...日…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 3
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 4
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 9
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 10
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story