トランプの中国叩きは必ず行き詰まる...中国が握る半導体産業の「チョークポイント」
Hard Tech Realities
通商拡大法232条に基づくトランプ政権の半導体産業調査は始まったばかりで、関税を課すかどうか、課すとすれば税率はどうするかの最終決定には何週間、いや何カ月もかかるだろう。
トランプ政権の高官は全ての半導体に一律25%の関税を課す方向で検討しているが、この税率もいつ引き上げられるか分からない。そうなれば、既に度重なるトランプ関税の負担にあえいでいるサプライチェーンに一段の圧力がかかることになる。
「奥の手」はレアアース
ハワード・ラトニック商務長官が去る4月13日に示唆したように、もしもトランプ政権が外国製半導体を搭載した電子機器の全てに関税を適用するとしたら、アメリカの企業や消費者の負担はさらに重くなるだろう。
アメリカ企業に国産半導体の使用を強いることで、何としても半導体製造工場の国内誘致を進めたい。そんな思惑が透けて見えるが、専門家によれば、実行するのは容易ではない。さまざまな製品に組み込まれた無数の半導体の原産地を、メーカー側に全て開示させるのは不可能に近い。
一方、関税攻撃で寸断されたサプライチェーンは簡単に再構築できるものではない。台湾のTSMCは既にアリゾナ州で建設中だった第1工場を稼働しているが、第2工場の完成には最低でも2年かかるという。つまり、それまでは高い関税を払って台湾から輸入するしかない。とりわけ影響を受けそうなのはAI系の企業だ。なにしろ彼らのデータセンターには無数の最先端半導体が使われている。