トランプの中国叩きは必ず行き詰まる...中国が握る半導体産業の「チョークポイント」
Hard Tech Realities
そう言いつつも、トランプ政権はエレクトロニクス業界に、一時的とはいえ猶予を与えた。さすがのトランプも、ハイテク製品のグローバルなサプライチェーンが置かれている現実に目をつぶることはできないのだろう。
なにしろ中国を切り捨てることは難しい。調査会社カウンターポイントの推計によれば、米国内で販売されるiPhoneの約80%、全てのスマホの70%、パソコンモニターの80%は今も中国で製造されている。
「中国への依存度は、アメリカ政府が認めたくないほどに高い。政治家がいかにデカップリング(切り離し)を声高に叫んでも、経済界はきちんと現実を見据えている」。そう言ったのは米戦略国際問題研究所(CSIS)のバラス・ハリサス上級研究員だ。
米消費者が犠牲になる
トランプ関税の脅威はテスラからアップル、半導体大手のエヌビディアに至るまで、ひたすら大統領に擦り寄ってきたシリコンバレー系の大企業を直撃する。だからこそ4月11日の夜になって適用除外が発表されたのかもしれない。ハリサスに言わせれば「舞台裏で相当な押し合いへし合いがあった」可能性が高い。
実際、エヌビディアは4月14日に、米国内での生産力増強に5000億ドルを投じると発表した。AI用の半導体を全て国産化するとのことだ。それでもトランプ政権は中国向けの輸出に対して厳しい規制をかけたため、エヌビディアの逸失利益は55億ドルに上る見込みだという。