今のアメリカは「文革期の中国」と同じ...中国人すら呆れるトランプの政策
WHY CHINA WILL PREVAIL
今年3月に私が中国で経営幹部たちと話をした際は、景気後退の最悪な時期は過ぎ、新たな成長の兆しが見え始めているという声が少なくなかった。
ある自動車メーカーの幹部は、自社の電気自動車(EV)の需要が予想をはるかに上回るペースで伸びており、国外の製造施設の操業開始を前倒しすると語った。アメリカの制裁対象となっている半導体企業の幹部は、欧米の装置メーカーからの支援がなくても生産効率と品質を向上させていると述べた。
もちろん、政策の発表だけで安心できると考える人はいないが、ここ数年の暗雲は少しずつ晴れている。そして、中国が自信を取り戻している最大の要因はワシントンにある。今年の第1四半期は北京、上海、ニューヨーク、マイアミなど、どこに行っても最大の話題はトランプだった。ほぼ全ての会話が、彼の政策への困惑を中心に展開された。
驚いたのは多くの人々が今のアメリカを、国全体が前例のない混乱と苦難に見舞われた文化大革命期の中国になぞらえたことだ。
政府支出の無駄を削減し汚職を減らす必要性は理解できると、彼らは言った。中国でもこの2つは大問題だ。解せないのはイーロン・マスク率いる政府効率化省(DOGE)が場当たり的に省庁を解体し、何万人もの職員を解雇していることだった。
基礎科学や気候、医学、宇宙を研究する政府機関や大学への助成金が次々と削減されていると聞き、ある中国政策の専門家はあきれ顔で問いかけた。「アメリカの政府はもはや科学を信じていないのか?」