ユン大統領罷免を言い渡した憲法裁裁判官は「平均的国民から抜け出さない」と誓い司法人生を終えた
弾劾審判の判断基準と時間がかかった理由
6年間の最高裁裁判官の退任前日の17日、ムン代行は仁荷大学法学専門大学院で特別講義を行った。未来の裁判官たちを前にムン代行は弾劾審判の基準について「寛容と自制がなければ民主主義は発展できない」と説明した。
「弾劾訴追は寛容と自制の基準を越えておらず、非常戒厳は越えたというのが私たちの判断」と述べた。
また弾劾審判を下すまでに長い時間がかかった理由については、「野党に適用される権利が与党にも適用されなければならず、与党に認められる節制が野党にも認められてこそそれが統合だ。自分に適用される原則とあなたに適用される原則が違えば、どうして統合できるだろうか。その統合を私たちが訴えてみよう、それが弾劾宣告文の主題だった。それで時間が長くかかった」と強調した。
また、「弾劾訴追は国会の権限だから問題ない。このように話すと、非常戒厳は大統領の権限ではないかと言われるが、それでは答えを見つけることはできない」と述べ、「寛容と自制を越えたか否か、現在まで弾劾訴追はそれを越えておらず、非常戒厳はそれを越えたというのが憲法裁判所の判断だった」と説明した。
憲法裁判所が全うすべき使命とは──
2025年4月18日、ムン・ヒョンベ憲法裁判所長権限代行とイ・ミソン憲法裁判官は6年の任期を終えて退任した。ソウル鍾路区の憲法裁判所本館1階の大講堂で開かれた退任式には、7人の裁判官をはじめ、家族や知人、憲法裁職員が大勢出席した。
ムン代行は退任の辞で「憲法裁判所が憲法が付与した使命を全うするためには次の3つが補充されなければならない」として「裁判官構成多様化」「さらに深い対話」「決定に対する尊重」が必要だと強調した。
特に裁判官構成の多様化については「集団思考の罠に陥らず、多様な観点で争点を検討するため」として「憲法実務経験が多い憲法研究者や教授に憲法裁判官になる道を開かなければならない」と提言した。また深い対話については「他人の意見を傾聴する過程と、傾聴後に自身の意見を修正する省察の過程を含む」と説明した。
憲法裁の決定については、「学術的批判は当然許されるべきだが、対人論証のような非難は止めなければならない」と述べ、「大統領中心制国家では、大統領と国会の間に葛藤が高まり、対話と妥協を通じた政治的解決が失敗に終わったことで膠着状態が生じた場合、これを解消できる装置がない」としながらも、「憲法裁判所が権限争議のような手続きで事実性と妥当性を備えた決定をし、憲法機関がこれを尊重することで膠着状態を解消できる」と強調した。
ムン代行は高校の恩師や同窓生、憲法裁内のテニス同好会やウォーキング同好会のメンバーたちにも感謝を伝え、「市民の一人に戻って自分なりの方法で憲法裁を応援する」と締めくくった。退任後は故郷である釜山に戻り、しばらく休息を取る予定だという。