大統領はどこまで「株安許容」するのか?...なお残る「トランプ・プット」期待
2020年の新型コロナウイルスのパンデミック発生時以来の規模となった足元の株安を巡っては、ソーシャルメディア上でトランプ氏が意図的に市場を壊し、米連邦準備理事会(FRB)に利下げを迫るとともに、中間層に買い場を提供したとの憶測まで出回っている。
トランプ氏は6日、首都ワシントンに向かう大統領専用機内で記者団に、わざと株価を急落させているわけではないが、これは米国の貿易赤字問題解決に必要な「薬」を服用した結果だと説明した。
同氏や側近らはかねてから、関税などの政策が短期的な痛みをもたらすとしても、結局は米国の製造業を復活させて成長を押し上げると主張している。
自力対応は不可能
しかし一部の投資家は、消費者信頼感低下や貿易戦争の激化、物価圧力増大といった要因のせいで、いくら今後プラスの材料が出てきたとしても、米経済が被る打撃は深刻で長期化する恐れがあると警鐘を鳴らす。
ボストン・カレッジの経済学者ブライアン・ベチューン氏は、関税が引き起こした混乱は、いくら米企業に耐性があっても自力で痛手を和らげることができないほど突然だったと指摘。「気球に多くの重りを取り付ければ、ドスンと地上に落ちてしまう」と解説した。
2日と3日にS&P総合500種が記録した下落率は10.5%で、2営業日ベースでは20年3月以来の大きさ。時価総額5兆ドル(約735兆円)近くが消し飛んだ。