最新記事
中国社会

中国の「非婚・少子化」は原因が複合的すぎて打つ手ナシ?...親は「娘の経済的自立」重視、「義理の息子」候補に過剰な期待も

CHINA’S MARRIAGE CRISIS

2025年4月7日(月)15時05分
易富賢(イー・フーシェン、米ウィスコンシン大学マディソン校人口学者)

これだけ男女比が違うにもかかわらず、結婚しない女性たちがいる。

娘を持つ親(ほとんどが一人っ子だ)の多くは、結婚よりも教育や経済的自立を重視し、義理の息子となる男性に過剰な期待を寄せる。25〜29歳の非婚女性の割合は00年の9%から23年は43%に跳ね上がっている。

中国が1980年に導入した一人っ子政策で生まれた世代の間で離婚が増えていることも、危機をさらに悪化させている。1000人当たりの離婚率は80年の0.3から19年には3.4に上昇した。


妊娠可能な時期はとても短い。卵子の数は加齢とともに減少し、30歳までに12%になり、40歳になる頃には3%しか残っていない。

一方で女性の平均初産年齢は00年の25歳から20年には28歳になり、近年ますます遅くなっている。上海では19年は30歳だったが24年には32歳になった。不妊症の割合は70年代に1〜2%だったのが20年には18%になり、結婚後や第1子の出産後に子供を産まない女性が増えている。

世界的に見て儒教の影響を受けてきた地域の出生率がとりわけ低いのは、教育を重視するあまり、結婚や出産を軽んじてきたためでもある。

法的に婚姻できる最低年齢は80年に男性が22歳、女性が20歳に引き上げられた。人々は結婚や出産を後回しにすることに慣れ切っており、たとえ結婚年齢を18歳に引き下げたところで、出生率上昇に効果はないだろう。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ECB、中立金利以下への利下げも 関税で物価下押し

ワールド

メルツ次期独首相、トランプ氏に「関税ゼロ」を提案へ

ワールド

スペイン全土で大規模停電、市民生活混乱 ポルトガル

ワールド

米コロラド州のナイトクラブで不法移民114人拘束、
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 3
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 4
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    体を治癒させる「カーニボア(肉食)ダイエット」と…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    トランプの中国叩きは必ず行き詰まる...中国が握る半…
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    【クイズ】米俳優が激白した、バットマンを演じる上…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 6
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 7
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 8
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 9
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 4
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中