最新記事
ウクライナ戦争

「逃げられるうちに逃げろ...」騙されてロシア軍に入隊したインド人、仲間からの「悲痛なメッセージ」の意味とは?

ESCAPING THE RUSSIAN ARMY

2025年4月3日(木)17時25分
ジェームズ・ビアズワース(ジャーナリスト)

インド人2人とネパール人6人で構成されたロシア軍のストームZ部隊

ストームZ部隊(パサンらインド人2人とネパール人6人) RAJA PATHAN

しかし、すぐに彼らは小さなグループに分けられ、それぞれ異なる出発日を告げられた。8日をかけて全員がモスクワに向けて出発した。

彼らは皆、似たような話に誘われてロシア行きを決めた──高額な報酬の仕事と、外国の市民権を取得できる可能性と。インドの労働市場は危機的状況で、労働適齢期の人口の半分以上が公式には雇用されていないから、これは魅力的な話だった。


月給20万ルーブルと永住権

サルファラーズは23年6月までコルカタの5つ星ホテルの厨房に勤めていた。週7日働いて月給はわずか1万8000ルピー(約3万1000円)。壊疽(えそ)のために高額な医療費がかかる父親を、どうにか養っていた。

経営者が代わって職を失い、ネット上で職探しをしていたサルファラーズは、9月にYouTubeで「ババ・ブログス」というチャンネルを見つけた。ドバイ在住のファイサル・カーンというインド人が、スキルが低いインド人にも世界各地で高給の仕事があると話していた。

ある動画(現在は削除)でカーンは、ロシア軍が「警備補助員」を募集していると宣伝した。前線からかなり離れたところで後方支援に従事して、月給は最高20万ルーブル(約35万8000円)。

「(ロシア)政府はこの状況で支援業務に就く人に、恩恵を与えるべきだと考えている。この仕事は永住権の取得につながる」と、カーンは9月にアップされた別の動画でサンクトペテルブルクの街を歩きながら語っている。

「5分とたたずに私は彼に連絡した」と、サルファラーズは振り返る。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

独ポルシェ、通期の業績予想引き下げ 第1四半期は中

ビジネス

HSBC、第1四半期は25%減益 関税巡る経済リス

ビジネス

ドイツ銀行、第1四半期は予想上回る39%増益 関税

ビジネス

独消費者信頼感、5月は改善 関税巡る不確実性なお重
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 3
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 4
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    トランプの中国叩きは必ず行き詰まる...中国が握る半…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    体を治癒させる「カーニボア(肉食)ダイエット」と…
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    【クイズ】米俳優が激白した、バットマンを演じる上…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 6
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 7
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 8
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 9
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中