トランプが再定義するアメリカの役割...米中ロ「三極時代」の幕開け
TRUMP’S GREAT POWER GAME
中国とロシアは西半球への経済進出を追求しており、トランプは他の分野の妥協を通じてそれを阻止しようとしていると、パトリックはみる。ロシアと中国を含む大国がそれぞれ自国周辺に勢力圏を持つことは当然の権利だという考え方に、トランプは「より親和性を感じる」ようだ。
過去の米政権はソフトパワー戦略や軍事介入を通じてアメリカの価値観を輸出するという旗を振ってきたが、それを手放したトランプの言う「マニフェスト・デスティニー(明白な天命)」は、領土回復主義にほぼ等しい。こうした概念は、アメリカの保護下にある地域の奪還を目指す中国とロシアの世界観と、融合しているようにさえ見える。
駐米ロシア大使館から本誌に提供された記事の中で、前大統領で安全保障会議副議長のドミトリー・メドベージェフは、アメリカが中国とロシアに対して「民族間や人種間の敵対心をあおり、民族グループに国家的な疑似アイデンティティーを構築させ、国家を形成する民族から切り離そうとしているように見て取れる」と非難している。
パワーポリティクスの限界
ただし、多方面の敵を同時に抑え込もうとすることは、アメリカの立場を不安定にしている。