地中海は昔、海ではなかった...広大な塩原を「海」にした、たった一度の「大洪水」とは?

大昔、地中海はテチス海の一部だったが、地殻変動で完全に干上がった(写真はイメージ)
<塩原だった地中海を一度で満たした「ザンクリアン大洪水」、起こった説が濃厚に?>
地中海はずっと昔、干上がった広大な塩原だった。
しかし昨年12月末に学術誌コミュニケーションズ地球&環境に掲載された論文で、約533万年前の「ザンクリアン大洪水」で海水が満ちた可能性が改めて示された。
洪水は2~16年間続き、毎秒6000万~1億立方メートルの勢いで流れ込んだという。
約2億年前の地中海海域はテチス海と呼ばれる古代の海域の一部だった。
やがて地殻変動で海域が縮小し地中海になったが、乾燥した気候で海水がほぼ蒸発してしまう「メッシニアン塩分危機」が597万~533万年前に起きた。その後、ジブラルタル海峡が開通し、徐々に水が流入したと考えられていた。
だが2009年、スペイン南部カディス湾からアルボラン海までの浸水流路が発見され、1度の洪水で海水が満ちたことが示唆された。今回の論文は地中海にある海嶺の尾根を分析し、大洪水の新たな証拠を提示した。