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ロシアにも影響を及ぼす中欧諸国の政治危機

Putin's Biggest Allies in Europe Face Political Peril

2025年3月19日(水)15時25分
ブレンダン・コール

ルーマニアで発生した抗議活動の主催者によると、15日、ブカレストに約1万人が集結。参加者はEUの旗とルーマニア国旗を掲げながら、EU支持を訴え、民族主義や反欧州の風潮の高まりに抗議した。


ボイス・オブ・アメリカによると、この抗議活動にはジョルジェスクの支持者も参加していたという。ジョルジェスクはロシア政府による選挙介入疑惑により再選挙への出馬を禁止されている(本人とロシアは疑惑を否定している)。

地政学・安全保障研究センター(GSSC)のデニス・チェヌシャは本誌に対し、親ロ派であるジョルジェスクが当選しなくとも、ロシアはルーマニアでの混乱から利益を得る可能性を指摘している。

実際、極右政党「ルーマニア統一同盟」(AUR)の指導者ジョルジェ・シミオンは大統領選の決選投票に進出する可能性が高く、当選の可能性もある。さらに、シミオン率いるAURが主要野党として台頭すれば、今後の議会選挙でも有利になるが、これはロシアにとって都合がいいとチェヌシャは主張している。シミオンおよびAURはウクライナとモルドバに対する領土的主張を持っており、ルーマニアがこの2国と築いてきた戦略的関係を損なう可能性があるからだ。

ルーマニアでは、5月4日に改めて第1回大統領選が再実施され、同18日に決選投票が行われる予定だ。ジョルジェスクの出馬の可否が今も不明であることや、シミオンが支持者に対し「我々の票が盗まれた」と訴えているなど、情勢は依然不透明である。


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