ロシアにも影響を及ぼす中欧諸国の政治危機
Putin's Biggest Allies in Europe Face Political Peril
ロイター通信によると、3月15日、ハンガリーの建国記念日に合わせて約5万人のデモ隊がブダペストの街頭に繰り出し、元政府高官で反オルバン陣営の指導者となったマジャール・ペーテルへの支持を表明した。
43歳のマジャールと彼が率いる保守新党「尊重と自由」(ティサ)は、2026年の議会選挙に向けて12の主要な政治経済に係る問題について国民調査を実施する予定だ。オルバンが率いる反EU・親ロ派の「ハンガリー市民同盟」(フィデス)による15年間に及ぶ統治を終わらせることを目指している。
支持者らに「私たちの時代が来た」と語ったマジャールは、「強いヨーロッパの一員」としてハンガリーを再び確立することを約束しており、オルバンのEU懐疑主義とは一線を画している。
2009~2010年に外相を務めたバラージュ・ペーテルは、本誌の取材に対し、オルバンが国営メディアを掌握している一方で、マジャールはソーシャルメディアを活用し、ティサの支持基盤を拡大しつつあることに触れ、オルバンは「自分が永遠に政権を握る」と考えていたが、資金や組織力に乏しいマジャールという政治的ライバルの台頭に驚いていると分析している。
マジャールは親欧州派であり、ウクライナを支持するとみられることから、政権交代が実現すれば、ハンガリーがEU内のモスクワの代弁者となっている現状は根本的に変わると指摘。さらに、ハンガリーに蔓延する汚職を一掃し、「オルバンの現在の政策とは正反対」の施策を推し進めるだろうと述べた。