「人々は嫌でも真実を知ることに...」ロシア体制への最大の脅威はウクライナ侵攻兵士の帰還
Putin’s War Veteran Threat
ロシアは兵士不足を補うため、恩赦を与えるか、半年間従軍すれば釈放するといった条件で刑務所で志願兵を募った。報道によれば、今はこの方法は採用されていないというが、プーチン政権内部でもこうした兵士の帰還を危惧する声が上がっている。
ロシア大統領府第1副長官のセルゲイ・キリエンコは昨年7月の政権内の会議で、ウクライナからの帰還兵が社会に「うまく適応できず」、犯罪に走って市民の反感を買う事態を警告したと伝えられている。
キリエンコは、ウクライナからの兵士の帰還はロシアを揺るがす「最大の政治・社会的なリスク要因」になりかねないと述べたという。
「大規模な犯罪の波が来る」
一方、ロシア生まれの経済学者で、軍に関する虚偽情報を流布した容疑で逮捕状が出ているコンスタンチン・ソニンは、プーチンが新たな兵力の確保に注力しているため帰還兵が政権への喫緊の脅威になることはないとしつつ、別の形でロシア社会にリスクをもたらす可能性を指摘する。
「90年代初頭を上回る大規模な犯罪の波が訪れるだろう」と、ソニンは本誌に語った。「アフガン戦争後と比べて、帰還兵の数は最大で10倍も多い。彼らは武器の扱いに熟達しており、犯罪組織にとっては格好のリクルート対象だ」
しかも、プーチン政権は刑事司法制度の信頼性を著しく損ねてきた。「今の犯罪者は皆、どんな罪を犯しても戦争に行けば免責されると知っている」と、シカゴ大学ハリス公共政策大学院の卓越教授であるソニンは付け加えた。