「人々は嫌でも真実を知ることに...」ロシア体制への最大の脅威はウクライナ侵攻兵士の帰還
Putin’s War Veteran Threat
ISWによれば、ロシア政府が警戒しているのは、退役後も心的外傷後ストレス障害(PTSD)にさいなまれ、社会復帰が困難な帰還兵が徒党を組むことだ。
これには前例がある。1979年にアフガニスタン侵攻を開始したソ連軍は10年に及ぶ戦闘の末、89年に撤退した。「アフガンツィ」(ロシア語でアフガン人という意味)と呼ばれたソ連兵が心身共にボロボロの状態で帰国すると、社会には動揺と混乱が広がった。
プーチン政権は同じ轍を踏むことを恐れている、というのだ。
「兵士の大量帰還が治安上のリスクとなるのは明らかだ」と、リスク管理に詳しい元米陸軍大佐のセス・クラミッチは言う。「短期的にはともかく、中長期的には、プーチン政権、さらにはその後の政権にとっても深刻な問題になるだろう」
政権内でも警戒の声が
ウクライナ侵攻におけるロシア軍の死傷者数や戦況の詳細に関する報道は厳しく検閲されてきた。戦闘が続いている間はごまかしが通用したが、兵士たちが帰ってくればそうはいかない。だまされていたと知った国民の怒りや帰還兵とその家族の不満を抑えるのは生易しい業ではない。
「国民に真実を、兵士とその家族に経済的支援を提供しなければ、社会不安が高まるだろう」と、クラミッチは言う。「アフガン侵攻後のように、戦場で負傷して障害を負った退役軍人が街中で目につけば、人々は嫌でも真実を知ることになる」