得票率は前回比で倍増、約21%に...極右政党AfDとドイツ政治の危うい行方
No Longer on the Margins
時代も状況も変わり、CDU指導部の失策があったのも事実だが、やはり右からの圧力が強かったと分析し、こう指摘する。「メルツとしては移民問題でもCDUの存在感を示したかったのだろうが、その戦術は有効だったか。結果を見る限り、おそらく答えはノーだ」
今の時代には「絶え間なく危機感をあおり、『外国人は追い出せ』と叫ぶ極右の単純かつ強引な主張が共感を得やすい」と指摘したのは社会心理学者のオリバー・デッカー。いくら中道右派が移民問題を取り上げても、それでAfDを止めることはできず、むしろAfDの主張に正当性を与える結果になった。デッカーはそう分析している。
AfDが結成されたのは、くしくもメルケル政権全盛期の2013年。当初は欧州統合の動きに反発する民族主義的で保守的な経済学者らの集まりだったが、徐々に右傾化を進め、旧東ドイツ圏で支持を広げた。今も基本的には東部5州が地盤だ。
世代研究所を主宰する心理学者のリュディガー・マースは、「最初のうちAfDを支持したのは保守的な高齢層で、彼らはメルケル政権に幻滅していた」と指摘する。
当時の旧東ドイツには右傾化を続けるAfDを受け入れる素地があった。
住民は東西統一で不公平な扱いを受け、二級市民として扱われるようになったと失望していた。経済面でも失業率が高く、現在に至るまで旧西ドイツより賃金も生活水準も低いままだ。