世界最低の韓国の出生率が、過去9年間で初めて「上昇」した理由、どの対策が効いたのか
だが2024年、暗雲の漂っていた韓国の出生率統計に明るい兆しが見えた。出生率は依然として世界でも過去に類を見ない低さではあるが、23年の0.72に比べ0.75に上昇した。出生率低下に歯止めをかけるべく、韓国は少子化対策に何十億ドルも投じてきたが、それでも出生率は15年の1.24から8年連続で低下していた。
回復の大部分は、コロナ禍に延期されていた結婚が増加したことを反映しているが、それ以外のデータからは、単にコロナ禍からの一時的な反動だけでなく、政府の対策が奏功している兆しも見られる。
四半期データによれば、2024年後半に第1子の出生数が11%増加したのに対し、ナムさんのような第2子の出生数は12%増加している。
<まさに転機>
人口政策担当の大統領秘書官を務めるヨー・ヒェミ氏はロイターに対し、「今後しばらくは(出生率が)さらに上昇する可能性が高く、私たちはまさに転機を迎えている」と語った。
現在、弾劾裁判中の尹錫悦大統領は昨年、「国家的人口危機」への対処に特化した新たな省の設立を提案した。効果に乏しかった従来の給付金中心の支援策から、もっと幅広いアプローチを目指すものだ。
ロイターが先週、政策担当者や関連業界の専門家、エコノミスト、韓国の母親らにインタビューを行ったところ、出生率回復の要因として挙げられたのは、仕事と家庭のバランス、保育、住宅という3分野における政府の支援策と、さらに企業に子育て奨励を呼びかけるキャンペーンだった。
韓国政府は今年、上記3つの重点分野に19兆7000億ウォン(約2兆円)を支出する予定で、これは2024年に比べ22%増となる規模だ。