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イーロン・マスク「太陽系を植民地化したい」...現代のセシル・ローズが大宇宙の覇者になる

A NEW CECIL RHODES

2025年2月27日(木)19時35分
カロリーヌ・デ・フラウター(フォーリン・ポリシー誌コラムニスト)

ヨーロッパ経済史の専門家であるオランは、新著『差し押さえられる世界──有限資本主義論(16〜21世紀)』で、トランプの復活が意味することについて、興味深い考察を示している。

オランは、穏やかな自由資本主義が長期間続いた後に、略奪的資本主義が台頭した過去2回のシフトを詳しく分析している。

トランプがパナマ運河やグリーンランドの獲得に意欲を示したり、同盟国をしょっちゅう脅したり、自らの当選を助けた大富豪を政権の中枢に迎え入れたりしていることは、言語道断の沙汰に見えるかもしれない。

だが、かつて略奪的資本主義が台頭した時代にも、同じようにクレイジーで傲慢な振る舞いは見られた。


オランによれば、現代の自由資本主義は、ルールに基づく秩序が機能不全を起こして新自由主義(ネオリベラリズム)が広がった「中間期」を経て、約10年前に「有限資本主義」へと変貌したと主張する。

有限資本主義の特徴は、世界には万人が分け合えるほどの資源がないと、主要国が突然思い込み、熾烈な競争を始めることにある。

シーレーンや土地、資源、データ、労働力など、自らの勢力拡大に役立つと思われるものはなんでも獲得しようとする競争が激化し、既存のルールや条約や行動規範は脇に押しやられる。これはゼロサムゲームでもある。自分たちが手に入れなかったものは、ほかの誰かによって獲得されるのだ。

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