最新記事
欧州情勢

プーチンの最終目標が見えた----トランプが非難する『選挙を経ていない独裁者』、ゼレンスキーの孤立

Russia’s Playbook

2025年2月26日(水)15時50分
カテリーナ・ボンダール(米戦略国際問題研究所ワドワニAIセンター研究員)

ウクライナの近年の歴史には、親ロ派が決定的に敗北したように見えても、やがて勢いを盛り返した例がある。

04年の大統領選では親ロシア派のビクトル・ヤヌコビッチの当選が発表されたが、選挙に不正があったとして市民が抗議した「オレンジ革命」により投票がやり直され、親欧米派のビクトル・ユーシェンコが大統領となった。だが10年の選挙ではヤヌコビッチが勢いを盛り返し、大統領の座を勝ち取った。


ジョージアやモルドバの例は、ロシアによる侵略や部分的な占領を受けた国でさえ、再びロシアの影響下に入る可能性があることを示している。

常套手段の大きな成果

ロシアは08年にジョージアに侵攻し、現在も南オセチアとアブハジアを占領しているが、それでも与党「ジョージアの夢」をロシア寄りに導くことに成功した。ジョージア政府はEUへの加盟交渉を凍結。西側と距離を置き、ロシア寄りの姿勢を強めている。

モルドバの場合、1992年から沿ドニエストル地域が事実上ロシアに占領されていることを考えれば、ロシアに対して弱い立場にあることは明らかだ。昨年11月の大統領選では、ロシアの影響力が及ばない国外在住の有権者の支持を得て親欧米派のマイア・サンドゥが再選。

だがロシアはこの選挙でも、親ロシア派政治勢力への資金提供や選挙への干渉、組織的な嫌がらせといった手段を駆使した。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

トランプ氏、シェブロンのベネズエラ石油事業許可取り

ビジネス

米国株式市場=S&P横ばい、エヌビディア引け後上昇

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、トランプ氏の関税発言などに

ビジネス

エヌビディア、売上高見通しが予想上回る 11─1月
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:破壊王マスク
特集:破壊王マスク
2025年3月 4日号(2/26発売)

「政府効率化省」トップとして米政府機関に大ナタ。イーロン・マスクは救世主か、破壊神か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    富裕層を知り尽くした辞めゴールドマンが「避けたほうがいい」と断言する金融商品
  • 3
    東京の男子高校生と地方の女子の間のとてつもない教育機会の格差
  • 4
    日本の大学「中国人急増」の、日本人が知らない深刻…
  • 5
    【クイズ】アメリカで2番目に「人口が多い」都市はど…
  • 6
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
  • 7
    「縛られて刃物で...」斬首されたキリスト教徒70人の…
  • 8
    障がいで歩けない子犬が、補助具で「初めて歩く」映…
  • 9
    谷間が丸出し...際どいピンク下着で床を這う「無加工…
  • 10
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チームが発表【最新研究】
  • 4
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 5
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 6
    障がいで歩けない子犬が、補助具で「初めて歩く」映…
  • 7
    富裕層を知り尽くした辞めゴールドマンが「避けたほ…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 10
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 10
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中