最新記事
犯罪

「20万人の詐欺帝国」──移転を繰り返すミャンマー犯罪組織の行方

2025年2月26日(水)10時04分
ルーク・ハント
「20万人の詐欺集団」移転しても生き残るミャンマー犯罪組織の行方

詐欺拠点から解放され、モエイ川を渡ってタイ側に向かう人々(2月12日) KRIT PHROMSAKLA NA SAKOLNAKORNーREUTERS

<複数の情報筋によれば、当局の取り締まりが続く中、犯罪組織が目を付けた拠点の移転先候補は2つある。1つはミャンマー奥地。もう1つは...>

タイ当局はミャンマー、カンボジア、ラオスの国境沿いで活動する人身売買業者や詐欺拠点の取り締まりに本気で乗り出したが、犯罪組織の激しい抵抗に直面している。

タイはミャンマー側への電気や石油の供給を止め、ネット接続を遮断したが、犯罪組織はラオスから代わりの電気を買い、タイで調達した発電機や石油を密輸している。


取り締まりの結果、約7000人が救出された。この数字はさらに増えることが確実だが、国連によれば何らかの手段で東南アジアに送られ、オンライン詐欺を強要されている人々が少なくとも数十万人いるという。

「中国はミャンマーのビザのない詐欺関係者全員の解放を望んでいる」と、この問題に詳しい情報筋は言う。「その人数は1万人よりずっと多い。ミャワディの詐欺拠点で働く人間は全体で20万人超。中国人は約10万人だ」

2月初めに始まった取り締まりの対象地域は、タイ西部メーソート周辺の国境地帯だ。ミャワディはモエイ川対岸のミャンマー側にあり、悪名高い詐欺集団の集積地シュエコッコから南へ約20キロ。町の北と南に少なくとも10の拠点がある。

情報筋によると、シュエコッコには推定2万人の中国語話者がおり、中国人をターゲットに詐欺行為を行っているという。中国は彼らの帰国を望んでおり、犯罪組織は代わりにシャン州北部コーカンの中国語話者を集めている。

ここの住民たちは18世紀に現在のミャンマーに移住した華人の子孫で中国語を話す。

試写会
『クィア/Queer』 ニューズウィーク日本版独占試写会 45名様ご招待
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米最高裁、ベネズエラ移民の強制送還に一時停止を命令

ビジネス

アングル:保護政策で生産力と競争力低下、ブラジル自

ワールド

焦点:アサド氏逃亡劇の内幕、現金や機密情報を秘密裏

ワールド

米、クリミアのロシア領認定の用意 ウクライナ和平で
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はどこ? ついに首位交代!
  • 4
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 5
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 6
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 7
    「2つの顔」を持つ白色矮星を新たに発見!磁場が作る…
  • 8
    300マイル走破で足がこうなる...ウルトラランナーの…
  • 9
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 10
    トランプが「核保有国」北朝鮮に超音速爆撃機B1Bを展…
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 3
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 4
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇…
  • 5
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 6
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 7
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 10
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中