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ウクライナ戦争

現状は「プーチンの勝利」...和平交渉に向けてトランプが出せる、最大の「アメ」と「ムチ」は何なのか

FIGHT OR TALK IN 2025?

2025年2月21日(金)14時48分
グレン・カール(本誌コラムニスト、元CIA工作員)

停戦のメリットを説けるか

交渉は、双方が目的の達成に固執しない姿勢をほのめかすことが第一歩となる。しかしウクライナにとってこの戦争は存亡の機であり、おそらくプーチンにとっても同様の意味を持つ。そのためどちらも歩み寄りは難しい。1年以上続いた戦争は、10年以上続くケースが多い。

だが今年は停戦が実現するかもしれない。最大の理由は支援の継続に消極的なトランプの姿勢だ。


戦争を終結させたいなら、トランプにはデリケートな外交手腕が求められる。双方に戦争継続のメリットを上回る終結の利点を示すことが必要になる。

具体的にはまず信頼構築のため、民間インフラに対する攻撃の制限や限定的停戦、「非戦闘地域」の設定が提案できるだろう。続いて鉱物資源へのアクセスと引き換えにウクライナに安全保障を約束すれば、ウクライナの面目と安全はある程度保たれ、交渉は前進するだろう。

ロシアを交渉に引き込むには国際外交での孤立を緩和し、経済制裁の一部を解除するといった手が考えられる。もちろんその一方で双方に、明確かつ強力な脅し──対ウクライナ軍事支援の停止あるいは強化──をかけなければならない。

もっとも、この戦争はそもそも終わらせるべきなのか。国土の20%を奪ったロシアの侵略行為を容認し、歴史の改ざん、青少年の洗脳、文化財の破壊といった文化的ジェノサイドを罰しない和平は正しいのか。これは、また別の問題だ。

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