ロシアは既に窮地にある...西側がなぜか「見て見ぬふり」をする「プーチン失脚」へのスイッチとは?
PUTIN’S MOUNTING SETBACKS
だが当時の米政府はベラルーシの民主化運動を支援するどころか、「良きに計らえ」とばかりに影響力の行使をロシアに委ねた。これは1期目のトランプ政権が犯した外交政策上の最大の過ちの1つだ。
プーチンは窮地に陥ったルカシェンコを救い、25年余り続いた権威主義的な体制を支えた。その恩に報いるためか、ルカシェンコは隣国ウクライナに侵攻するロシア軍に自国の基地を拠点として提供した。
そのベラルーシが今、再び転換点を迎えている。今年1月26日の大統領選挙でルカシェンコは政権の座を維持できたが、それがいつまで持つかは分からない。20年の反政府デモは大統領選の直後に起きた。
今のベラルーシの反政府派は5年前よりもはるかに強固に組織化されている。抗議デモが広がれば、ルカシェンコ政権はあっけなく倒れるだろう。頼りになるはずのパトロンがよそに気を取られていれば、なおさらだ。
以上のような状況下で、西側がより賢明な戦略を描けていないことには驚きを通り越して目まいさえ覚える。EUは今もモルドバの親EU路線を支援しているが、沿ドニエストル地域の帰属については相変わらず知らん顔を決め込んでいる。
ジョージアはどうか。バイデン前米政権は昨年末、この国の与党の創設者で大富豪のビジナ・イワニシビリを制裁対象に指定した。だが2期目のトランプ米政権がそれ以上の戦略を練っているとは思えない。
ベラルーシに対する戦略に至っては、西側の外交専門家の間で議論すらされていない。