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親ロ派

ロシアは既に窮地にある...西側がなぜか「見て見ぬふり」をする「プーチン失脚」へのスイッチとは?

PUTIN’S MOUNTING SETBACKS

2025年2月19日(水)11時55分
ケーシー・ミシェル(ジャーナリスト)

だが西側はこの事態が戦略的に何を意味するかはおろか、可能な解決策を探る議論にも加わらなかった。

沿ドニエストル地域はウクライナと国境を接していて、ロシアはこの地域を最終的にウクライナの支配地域と連結する構想を持っている。にもかかわらず西側がこの地域に関心を示さないのは全くもって不可解だ。


さらに同じカフカス地方のジョージアは、ここ何年かで最悪の政治的な混乱に陥っている。昨年10月の議会選挙(不正を指摘する声が多い)では、親ロ派の与党「ジョージアの夢」が勝利を宣言。

有権者の信任を受けたとして親EUから親ロシアへの路線転換を急ピッチで進めている。同党指導部はジョージアの民主主義体制を切り崩そうとさまざまな策を弄してきた。昨秋の議会選はその総仕上げのようなものだ。

ウクライナではビクトル・ヤヌコビッチ元大統領が自国の民主主義体制を骨抜きにし、親ロ路線を突き進もうとしたために14年にマイダン革命が起きた。

今のジョージアはそれと似た状況にある。EU加盟を望んでいた国民は権威主義に急傾斜する与党に猛反発しており、このままでは政権崩壊を招きかねない。

「プーチン後」に備えよ

一方、西側の視界には入っていないようだが、近々倒れそうな最大の親ロ派ドミノはベラルーシだ。この国では20年に全土で民主化要求デモが吹き荒れ、アレクサンドル・ルカシェンコ大統領の長期にわたる独裁支配が崩壊の危機にさらされた。

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